ニッケイ新聞 2014年4月12日
ジェラルド・アウキミンサンパウロ州知事は10日、枯渇の危機が囁かれているカンタレイラ水系に関して、これまで使用されたことのなかった「未開の水域」と呼ばれる湖底の水の汲み上げを5月15日からはじめたいとの意向を発表した。11日付伯字紙が報じている。
「未開の水域」と呼ばれるのは、カンタレイラ水系の貯水場の取水口より下の部分に貯水された水のことで、その容積は約200億リットルといわれている。この水域はこれまで手がつけられたことはなかったが、州政府は8千万レアルをつぎ込んでこの水を利用する準備をはじめていた。
当初、この水を利用するのは、通常の形ではカンタレイラ水系からの取水が不可能となる(枯渇する)とされていた6月をめどに考えられていたが、5月15日に繰り上げられることとなった。11日現在でカンタレイラ水系の水位は12・2%まで落ちている。
この「未開の水域」の使用に関してはサンパウロ水道公社(Sabesp)のジウマ・ペーナ局長も認めており、4月下旬から5月上旬にはいつでも同水域の水を使用できるようにしたいと語っている。
また、これまで頑なに「給水制限の可能性はない」と言い続けていたアウキミン知事は、ここに来て「給水制限を行なうとは決めていないが、可能性がないわけではない。ただ、給水を制限する場合、州民に迷惑がかからないよう、最大限の努力をする必要がある」と語調を変えている。
一方、ペーナ局長は、「現在のサンパウロ州での水不足の問題はSabespの水道対策が不足しているからではないか」とのサンパウロ州検察局からの疑いを打ち消した。同局長は「今年の少雨は例年にないレベルのものだが、年内は水を供給できる状態にはしてある」と答えたが、給水制限の可能性は否定していない。
これらの発言は、サンパウロ州ヴァーレ・ド・リベイラのサンロウレンソで新たなダム建設工事がはじまったことの発表の中で行なわれた。この新ダムからは毎秒6千リットルの放水を行なう予定で、2017~18年には完成と発表したが、現時点で工事開始はおろか、資材さえ運ばれていない。
またペーナ局長は、現在カンタレイラ水系が水を供給している地域に、サンパウロ市東部方面に供給を行なっているアウト・チエテや南部に供給を行なっているグァラピランガの水を供給するのはシステム的に可能だとも発言した。
だが、そのグァラピランガにはひとつ問題がある。グァラピランガの水位は現在77・4%と充分な量だが、同貯水池には約3キロメートルにも及ぶ範囲に水草が生い茂っており、水質の劣化が疑われている。
一方、フォーリャ紙によると、市警は10日、大サンパウロ市圏で水道メーターに細工をし、水を大量に盗んでいた七つの食品企業の責任者を摘発した。中には月平均2万4千リットルの水を盗んでいたところもあるという。