ニッケイ新聞 2014年4月15日
ブラジル社会党(PSB)は14日、今年10月の大統領選で、マリーナ・シウヴァ氏を同党党首のエドゥアルド・カンポス氏の副大統領候補にすることを正式に発表した。マリーナ氏は2010年の大統領選挙で3位となった実績があり、カンポス氏はその知名度向上のための相乗効果を期待しているが、克服すべき課題は多い。12~14日付伯字紙が報じている。
マリーナ氏がカンポス氏の副候補になるという噂は、同氏が立ち上げようとしていた新政党の持続ネットワーク(RS)に政党としての正式認可がおりず、昨年の10月5日にPSBに駆け込み加入して以来ささやかれていた。カンポス氏に大統領選出馬の意思があることは、その当時から言われていたことだった。
カンポス氏としては、かねてから国民の支持が高かったマリーナ氏を味方につけることで自身の支持率や知名度の向上を狙いたいところだ。だが、カンポス氏にとって、事態はそう楽観的でもないのも事実だ。
マリーナ氏のPSB加入以降も、大統領選挙に関する世論調査でのカンポス氏の伸びは大きなものではなく、現時点では依然としてジウマ大統領に大きく水を開けられている上、2番目の支持を得ているアエシオ・ネーヴェス氏(民主社会党・PSDB)の支持率も抜けずにいる。
それどころか、2010年の大統領選で1960万票を獲得し、昨年6月の全国的なマニフェスタソン直後の世論調査で、急落したジウマ氏の支持率に一時的ながらかなり迫っていたマリーナ氏が大統領候補にならない落胆の方が大きかったのも否めない。
実際、「マリーナ氏が副候補」の噂が有力視されはじめた3月のIbopeの世論調査では、カンポス氏の支持率が10%から7%、マリーナ氏の支持率も21%から12%へ落ちた。今月行われたダッタフォーリャの調査では、カンポス氏への支持が10%だったのに対し、マリーナ氏への支持は27%あった。
さらに知事選をめぐるPSBとRSでの意向の食い違いも気がかりな点だ。12日付フォーリャ紙によると、支持する候補に関して9州で希望が異なっているという。たとえばサンパウロ州では、PSBがジェラルド・アウキミン現知事(PSDB)の再選支持の意向であったにもかかわらず、マリーナ氏の強硬な反対で実現せず、結局マルシオ・フランサ氏(PSB)を立候補させることになった。PSDBはマリーナ氏が長年所属した労働者党(PT)の政敵で、同様の拒否反応はパラナ州知事選をめぐっても起きている。RS内部ではカンポス氏の行う連立路線は古いとの認識があり、RSが正式に承認され次第、PSBを離脱したいと考えている人もいる。
一方、ジウマ大統領は、専門技術者の育成と雇用増大を目指す国家計画のプロテナッキを強化する意向を示している。これによって、変革を求める若年層がカンポス氏をはじめとする他の候補に流れるのを食い止め、その票をつなぎとめたい意向があるからだ。