ニッケイ新聞 2014年4月16日
2002年に始まった内戦の影響などで、08年に計画されていた国勢調査が行われないまま時が過ぎていたコートジボワールで国勢調査が再開される事になり、ブラジルの地理統計院(IBGE)が手のひらサイズのコンピューター2万台を貸し出す事になった。
貸し出されるのはIBGEが2006~10年の全国家庭サンプル調査で使ったもので、画面に現れる質問に対する答えもその場で入力できるため、集計作業が迅速化される。同国でのデータ収集は4週間で終わり、集計作業の結果も3カ月で出る見込みだ。
IBGEのコンピューター貸し出しは、今年2月に同国のチャールス・コフィ・ディビィ外相がブラジリアを訪問した時に決まったもので、3月に同国旧首都のアビジャンに運ばれた。
IBGEが貸し出した機種は、高温多湿の同国でも使用できるタイプである事や、落下に強い、関係者以外の人が使えないようにブロックする機能があって盗難などを防ぐ事が出来るといった理由で選ばれており、同国は、同様の機械を購入する費用400万ドル分を節約出来たという。
このコンピューターには太陽光でバッテリー充電が出来る充電器もついており、通常の電源が使えない地域でも利用出来る。この機械は同国に着く前にセネガルでも利用され、それ以前にはハイチでも利用された。
同国では1960年代に大量の移民流入が始まり、1998年の国勢調査でも、移民流入が様々な問題を引き起こしている事が指摘されていた。
当時の人口の4分の1は外国人で、人口の半分は同国で生まれた移民の子供だった。現在の大統領のアラサン・ワタラ氏は移民の子供だという理由で、2000年の大統領選挙で相手陣営から非難され、同氏の政党は選挙をボイコット。2010年の選挙では、大統領選挙の結果をめぐり、4カ月間の混乱が生じた。これが、第2次コートジボワール内戦だ。
2008年の国勢調査は流れたが、途中まで行われた調査によれば、その当時でさえ、同国では市民登録がされていない人が70万人いた。その後の混乱や内戦などで、出生届さえ出ていない子供は相当数いると考えられている。
今回の国勢調査後、同国国民には今年中に、ブラジルの納税者番号に相当する識別番号が用意される事になっている。15年に行われる次期大統領選挙の適切な運営にも関係しそうだ。
同国は失業率も高いため、国勢調査のための調査員として2万3千人の募集をかけたところ、10万人の応募があった。国勢調査そのものは集計担当者も込みで3万人前後のスタッフで行われ、出生地や国籍、所属部族(人種)、宗教なども質問事項に含むという。(12日付フォーリャ紙より)