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超満員のブラジレイアの収容所(Angela Peres/ Secom Acre)
超満員のブラジレイアの収容所(Angela Peres/ Secom Acre)

大サンパウロ市圏=CDPで過密収容が顕在化=定員3倍の囚人収容習慣化=日中に日光浴場で睡眠とも

ニッケイ新聞 2014年4月16日

 ブラジルで刑務所の不足がいわれて久しいが、15日付エスタード紙が、大サンパウロ市圏にある暫定刑務所(CDP)が超満員で、就寝の場所や時間帯の確保にも苦慮している実態を報じている。
CDPは裁判所で刑が確定するのを待つ容疑者を収容するところだ。大サンパウロ市圏では現在、このCDPに収容定員の約3倍の囚人を詰め込んでいるところが続出している。
大サンパウロ市圏内の過密収容率を計ったデータによると、過密度で上位10位に入ったCDPはいずれも定員超過率が190%を超えており、「定員の3倍」を意味する200%超のところは七つに及ぶ。ワースト1は西部ピニェイロス第4CDPの219・08%だが、ピニェイロスのCDPは第1~第3も全てワースト10入りと悪名高い。
またエスタード紙は、サンパウロ市東部シャッカラ・ベレンの第1、第2CDPの様子を写真入りで伝えている。そのうち第2CDPは過密度205・92%を記録している。
同紙によると、ここでは定員が12人の部屋に50人が収容されているという。看守の話によると、囚人たちは寝る場所がないため、交代制で寝る、つまり、「1人が2時間立って起きているあいだに他の人が寝る」というやり方に慣れてしまっている。人によっては「トイレの便座に座りながら寝ている囚人までいる」という。
また、職員の不足も深刻で、この二つのCDPには、食事や日光浴などで囚人たちが各々の部屋から出ている時間帯の監視をする看守が、それぞれわずか8人ずつしかいないという。
ある囚人の妻の証言によると、収監されている部屋ではほとんど眠れない夫にとっては、部屋を出られる午前8時30分~午後3時が休息時間となり、日光浴のときは場所を奪い合うようにして横になるという。
サンパウロ州刑務所管理局(SAP)は、看守や囚人の妻の証言の内容を「そのような事実はない」と言って否定している。
ジェラルド・アルキミンサンパウロ州知事は、向こう数年で11の刑務所の増設を既に発表している。だが、その計画での定員増は7960人分のみだ。現在、サンパウロ州全体のCDPの定員超過率は125・97%で、少なくとも3万9320人分、刑が確定済みの囚人用の刑務所も60・39%の定員超過で4万4846人分の場所が不足している。
刑務所の過密収容の問題はサンパウロ州だけに限らず、全国的な現象だ。今年1月にマラニョン州で刑務所内暴動が問題となった際、アムネスティ・インターナショナルが「定員の倍の囚人を収容している」と、人権尊重の立場から批判を行っている。