ニッケイ新聞 2014年4月17日
ペトロブラスのグラッサ・フォステル総裁は15日、上院の公聴会で上議たちの質問に応じた。同総裁の出席は同公社にかかった疑惑に対する議会調査委員会(CPI)の発足を避けることが目的で、過剰な買収額で疑惑を持たれている米国のパサデナ製油所の問題に関して、「良い取引ではなかった」などの発言を行なった。16日付伯字紙が報じている。
グラッサ総裁はCPI設置阻止を願う連邦政府の意向を汲み、約6時間に及ぶ公聴会での質疑でも、パサデナ製油所問題に関し、3月にジウマ大統領が示した見解と歩調を合わせた発言を行なった。ジウマ大統領は2006年、ペトロブラスの経営審議会の議長をつとめていた当時、結果的な買収額が12億5千万米ドルに及んだ同製油所の株50%の買収を了承したことを指摘され、「自分に渡された契約に関する資料に不備があった」と弁明していた。
グラッサ総裁はジウマ大統領の発言を裏付けるように、経営審議会メンバーが受け取った資料には、大統領が「記述がなかった」と主張していた、共同株主だったベルギーのアストラ・オイル社に有利な分配を規定した「マルヒン」と「プット・オプション」の条項はなかったと語った。
同総裁によれば、その責任は当時、国際渉外部長だったネストル・セルヴェロー氏にあり、「必要とされる全ての情報は長所と短所の両方を明らかにする必要がある」とした。同氏は同公社配給部門の子会社「BRディストリブイドーラ」の理事を3月に解任されており、同総裁は「子会社に左遷されたときから既に責任追及は行なわれていた」と語った。
グラッサ総裁は「パサデナ製油所の買収は良い取引ではなかった」と認めた上、「全ての事業がうまくいくわけではない」として、同公社の立場も弁護した。
同総裁は、マスコミが報じている数字の訂正も行なった。そのひとつはアトラス社が2005年にパサデナ製油所を買収した金額で、4250万米ドル以外の投資や出費があり、3億6千万米ドルを支払ったはずだとした。また、同製油所に関し、買収額が12億5千万米ドル、投資額を6億8500万米ドルと認めたものの、同公社の損害額は5億3千万ドルに止まり、今年は収益も上がりはじめたと答えた。
また、グラッサ総裁は「ペトロブラスは今回のことから学ばなければならない」とし、リオ州の石油化学コンビナートやペルナンブッコ州のアブレウ・エ・リマ製油所建設問題にも触れた。同製油所建設費は、ベネズエラが自己負担分の40%を払っていないこともあり、当初予算の25億米ドルが180億米ドルに跳ね上がり、水増し請求などの疑いが出ている。同総裁は、自身が総裁に就任した12年以降は、適切な額で事業が展開されていると強調した。
野党議員や連邦政府関係者は、グラッサ総裁の答弁はCPI設置をあきらめさせるには不十分との印象をもっており、連休後の審議で、包括型CPIにするかペトロブラス限定CPIにするかを決める意向だ。