ニッケイ新聞 2014年4月18日
サンタカタリーナ州リオ・ド・スルで13日未明、車を運転中にバイクの運転手と口論となった男性が、相手のバイクに追突、同乗していた女性が倒れた上をまたぐように走りぬけ、車体下部に引っ掛かった女性を800メートル引きずって大怪我をさせるという事件が起きた。
体中傷だらけになり、10回の手術が必要とされる大怪我をしたのは、夫と共にバイク仲間の集まりで同市に来ていたマリステラ・ストリンギニさん(40)。バイクを運転していた夫が乗用車を運転していた21歳の青年と口論となり、腹を立てた青年がバイクに向かって加速してきた。
青年はバイクを倒した上、マリステラさんを引きずって800メートル走ったところでタクシーの運転手に言われて車を停止させたが、救助もせずに逃げ去った。
この青年は同日午後7時半頃、父親に伴われて警察に出頭。泣きながら「バイクが自分の方に向かってきたので慌てて逃げた。バンパーが壊れて大きな音を立てていたから、女性が引きずられている事や悲鳴には気づかなかった」と供述した。この供述は乗用車が加速してきたという被害者達の証言とは矛盾するが、前科がなく、住所もはっきりしているため、供述後に釈放された。
15日の警察側の発表によると、警官が青年の自宅に着いた時、父親は「息子は車で出かけた。さっきまで酔って寝ていた」と答えている。インターネットの情報によれば、事故の事を知った母親が、息子と共に別の車で裏口から逃げ出した後だったという。
ただ、青年の弁護士は、「青年は土曜日も夜10時まで働いており、事故当日も朝9時から仕事に入る予定だったから、酒なぞ飲んだはずがない」という。
マリステラさんは、顔から足まで、全身に骨折や火傷などを負い、重体だ。入院中のアミル・エル・ハジェ病院の医師達は16日、命を救う事を最優先し、アスファルトでこすられたために負った3度の火傷の部分への皮膚移植など、10回の手術が必要との見解を明らかにした。
マリステラさんが被っていたヘルメットは半分に割れており、乳房も片方が100%、もう片方も90%の肉が引きちぎられた他、鼻や眼窩を骨折。ひざやひじは骨がむき出しになり、胸や背中など、全身に火傷を負っている。
医師団は患者が耐えられれば48時間毎に手術を行う計画で、命を救うための手術を最優先した後は、筋肉や皮膚を失った部分の機能を取り戻すための手術を行い、乳房の再建などの形成手術は最後になるという。
15日に行われた手術は胸部や乳房などの火傷に対するもので、死んでしまった皮膚を除去すると共に、体内に残っていたアスファルトを取り除くために筋肉の一部も切除した。乳腺はその後の再建手術のために保存してあるという。
マリステラさんは鎮痛効果のあるマリファナを投与され、個室に入院中だ。感染症を防ぐため、部屋に出入りする人は医師などの医療関係者と家族などに限られている。(13~16日付G1サイトなどより)