ニッケイ新聞 2014年4月18日
ブラジルの国内での最大の大会、「ブラジレイロン」こと全国選手権が今週末の19日から開幕する。
サンパウロ州選手権をはじめとする、全国27州での州選手権が13日に終わったばかりだが、休む間もなく、今度は全国選手権がはじまる。
この全国選手権は通常、5月下旬から始まるが、今年は6月中旬から7月中旬にかけてブラジル国内でワールドカップが開催されるので、その間の試合はなし。よって、通常より予定を1カ月早めて開催することになったわけだ。
この全国選手権は、国内のクラブにとっては最も意味を持つ大会であるにもかかわらず、ある時期までは大会の持つ意義が低かった。それは同選手権の歴史が50年程度で、100年前後の歴史を持つ州選手権に比べて伝統が短いことと、全国選手権が「南米選手権」にあたるリベルタドーレス杯に出場するブラジル代表を決めるため、といういわば「二の次」的な理由で発足したためで、参加チームの目的が「優勝」ではなく「リベルタドーレスに出られればいい」になってしまっている。それが現在まで続き、「4位以内(リベルタドーレス出場圏内)に入れれば」が各チームの本音だ。
そんな状態の全国選手権だから、長い間、開催方法も年によってまちまちで一定せず、それが求心力を失わせる要因にもなっていた。だが、ここ10年位は「20チームによる2試合総当りのリーグ戦」というやり方が定着し、ようやく大会として安定し始めた。
今年の全国選手権は、W杯出場選手の大半が現在国外でプレーしているため、「華」の部分で地味な感は否めないが、そういう時期だからこそ、これまでは知られていなかった若手の台頭が期待できるのも事実だ。現在セレソンのエースとして活躍しているネイマールも、まだ18歳だった、前回W杯開催年の10年の全国選手権で注目されはじめた選手だ。そのように、「18年W杯の卵を探す」目的で見ると、面白さは増すだろう。
あと戦況的には、昨年の同大会優勝で現在もリベルタドーレス杯で勝ち上がっているクルゼイロと、昨年の南米一のアトレチコ・ミネイロというミナス・ジェライス州の2強に、他のチームがどう立ち向かうか、といったところか。12年のコリンチャンスの世界一以来振るわないサンパウロ勢の奮起が期待されるが、中でも今期1部復帰を果たしたパルメイラスに期待したい。
また、従来はサンパウロ州、リオ州、ミナス・ジェライス州、リオ・グランデ・ド・スル州の4州の独占体質が続いていたブラジル・サッカー界だが、昨年の全国選手権ではアトレチコ・パラナエンセ(パラナ州)が3位、ゴイアス(ゴイアス州)が5位、ヴィットーリア(バイア州)が6位と、「非4大州」勢が健闘した。これらのチームが今年も波乱を起こすかどうかにも注目したい。