ニッケイ新聞 2014年4月18日
1999年にブラジルに初進出し、〃ブラジル・コスト〃に苦戦して当初の見込みより拡大のペースが遅れているとの報道もある衣料ブランド「ZARA(ザラ)」。当地の空港インフラの悪さや輸入障壁などが弊害となり、当地に配送センターを設置、商品の40%を現地で生産、調達している。
そのザラが、従業員を奴隷労働に近い扱いで働かせたと訴えられた。ザラ側は否認、訴えの取り消しを求めたが、サンパウロの労働裁判所はザラ側の訴えを退ける判決を下した。
ザラは、法に触れることはしていないとして訴えの取り消しを求めただけでなく、奴隷労働に近い状態だと認めた労働雇用省の判断は、政府の職権を超えたものと訴えていた。
ザラの従業員は別会社「Aha Industria e Comercio LTDA」に雇用されている。アルヴァロ・エマヌエル・デ・オリベイラ・シモンエス判事は11日に下した判決で、ザラは同社商品の90%以上を買い取っていたことを認めた。労働雇用省の監査によれば、奴隷労働に近い状態で働いていたAha社従業員は皆、ザラ向けの商品の製造だけに特化して携わっていたという。
また同判事は、労働雇用省と人権局がまとめている「リスタ・スージャ」(ポルトガル語で〃汚いリスト〃の意。奴隷労働をさせていると摘発された業者のリスト)へのザラの追加を一時的に禁じる予備判決も、取り消した。ザラは、このリストを政府が作成すること自体、越権行為だと主張していた。
この判決で、ザラは2万レの罰金と、従業員への賃金として20万レの支払いが命じられた。
ザラは判決を不服として上訴する意向を書面で発表している。またAha社が、作った品物を下請け会社に勝手に横流しして利益を得ていた事実が考慮されていないと訴え、「ザラ・ブラジルはAha社による違法行為で利益を得たことは一度もない」としている。
この件はもともと2011年、サンパウロ州内陸部のアメリカーナ市の作業所に労働雇用省の役人が監査に入り、過酷な労働状況が指摘されたもの。その作業所内には違法の宿泊所が据えられ、トイレも不足しているような状態だったという。
ボリビア人労働者から匿名の告発を受けた監査官らは、52人の従業員が、不衛生な環境で一日14時間労働、製品一点につき0・12~0・20レという低賃金で働かされていた実態を目の当たりにしたという。(15日付G1サイトより)