ニッケイ新聞 2014年4月18日
「日本人がブラジルで作った発泡ワイン(シャンパンのこと)で戦勝を祝ってほしい」。リンゴ生産やワイン製造を手がけているサンジョアキン農業協同組合が、6月にW杯で来伯する日本代表のために一肌ぬごうと、在聖総領事館を通して日本サッカー協会に申し入れ、承諾を待っている。〃日系社会からの応援〃としての無償提供だ▼97年に来伯された両陛下は、サンパウロ市ホテルに届けられた〃ピエダーデで日系人が生産した柿〃をご賞味された。両陛下に接したホテル幹部によれば「富有柿を召し上がった皇后陛下は大変お気にいられ、その晩、『明日の朝、私が陛下にお剥きして差し上げたいので、丸ごと一つ用意してください』と申しつけられましたので、その通りにしました。翌朝ご出発される時、皇后陛下から『陛下は美味しくいただきましたと伝えてください』とのお言葉を賜りました」と振り返った▼このような〃日系スタイル〃で日本の賓客に遇するのは伝統ともいえる。ただし「厚意の押し付け」とならないよう、総領事館には上手に調整してもらいたい▼同農協を呼び水に次々と生産者が協力を申し出るのではないかとも予想される。これを梅田邦夫大使に相談した際、「さすが日系社会のあるブラジルだ」と喜んだ。ロンドン五輪で日本代表を4位に導いた関塚隆元監督も「ホーム(自陣)の雰囲気で戦えることは、選手にとって心理的にまったく違う」と日系社会の応援を期待していた▼日本代表の初戦は6月14日のコートジボワール戦。同農協では「グループ戦3戦全勝を願って発泡ワイン3箱」と奮発し「その後の分まで用意済み」と熱い心意気を示した。(深)