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ピゾラット氏(Jose Cruz/ Agencia Brasil)
ピゾラット氏(Jose Cruz/ Agencia Brasil)

ピゾラット=身柄引渡に一歩前進か?=伊国が裁判を経て決定へ=上告は2度まで可能も=さらなる資金洗浄疑惑も

 メンサロン事件で実刑判決を受けながら、二重国籍を利用してイタリアに逃亡中のエンリケ・ピゾラット氏に関し、イタリア検察庁が身柄の引渡に前向きな姿勢を見せた。この件はイタリア国内での裁判が必要で、ピゾラット氏には上告する権利もある。23日付伯字紙が報じている。

 ブラジル銀行元マーケティング担当理事のピゾラット氏はメンサロン裁判で、収賄、公金横領、マネー・ロンダリングの容疑で12年7カ月の禁錮刑と130万レアルの罰金刑を言い渡された。同氏は昨年11月に刑執行となるはずだったが、そのときに、同年9月に既にイタリアへ逃亡していたことが判明した。
 ピゾラット氏は2月5日、イタリアのマラネロの甥の家に潜伏していたところを逮捕された。同氏は35年前亡くなった実弟になりすまし、偽造パスポートで入国していた。ブラジル連邦検察庁が同氏逮捕後に作成した身柄引渡の要請書は、外務省を経て、3月3日に伊国外務省に手渡されたが、この時点では、同氏はイタリア国籍を持ち同国で逮捕されたため、身柄引渡は刑法上、不可能との見方が圧倒的だった。
 だが、ボローニャ裁判所は今回、4月初旬に同国検察庁が提出したピゾラット氏の身柄引渡に関する意見書を、5月中旬から審理する意向を表明した。同国検察庁の意見書では、メンサロン事件の被告には現職の下院議員が含まれていたため、地方裁判所の過程を経ずに最高裁のみで裁かれたものの、ピゾラット氏とその弁護士が主張するような政治的な意図や不当性は見受けられず、身柄引渡の要求に応えるのが妥当だとの意見が記されている。
 ボローニャ裁判所での審理は5月中旬から行なわれるが、この場合、身柄引渡の決定権はあくまでもイタリアの司法側にある。このため、ボローニャで不服な判決が出た場合、ピゾラット氏の上告は可能で、次のローマでの裁判でも上告ができる。最終決定は欧州裁判所での判断となる。
 なお、ピゾラット氏が抱える裁判はこの身柄引渡のみではない。同氏はイタリア入国の際に作成した偽造パスポートと偽造書類による偽証罪にも問われている。
 また、ピゾラット氏に新たな疑惑も浮上している。それは同氏が、イタリアのシルヴィオ・ベルルスコーニ元首相のロビイストで、現在ナポリで逮捕されているヴァルテル・ラヴィトーラ容疑者の画策したマネー・ロンダリングの計画に関与していたというもので、イタリアの裁判所は2人が金銭的なつながりを持っていたことを発見したとしている。ピゾラット氏は3月に刑務所内で事情聴取も受けている。
 2人の関係は、ブラジル銀行年金ファンドのPREVIの指名を受けたピゾラット氏が、ブラジル・テレコムの経営審議会に加わった2000年からのもののようだ。ブラジル・テレコムではその当時、通信会社のテレコム・イタリアが設立したTIMとブラジル企業のオポチュニティが運営権をめぐって争っており、リオ在住だったラヴィトーラ氏との間でTIM側の便宜を図るような取引があったと見られている。