ニッケイ新聞 2014年4月25日
ジウマ大統領は23日、サンパウロ市ではじまったインターネットの国際会議「ネットムンジアル」に主催国代表として出席し、前日に上院を通過したばかりのネット法案、マルコ・シヴィル法を裁可した。26日付伯字紙が報じている。
全世界85カ国(90カ国以上との説もある)の代表が集まる中、ジウマ大統領はインターネットにおける利用者個人の自由などを定めた「マルコ・シヴィル法」に関する紹介を行った。
この国際会議でのマルコ・シヴィル法裁可と紹介は、ジウマ大統領にとって優先事項とかねてから言われていた。それは、この国際会議でネット新法の発表を世界の代表に向けて行うことで、大統領は若年層からのイメージアップを図りたいと考えていたからだ。
それは、とりわけ、大統領選立候補が有力視されるエドゥアルド・カンポス氏の副候補で、若年齢層の支持が高いマリーナ・シウヴァ氏を牽制した動きだとも見られている。マリーナ氏は翌24日にこの会議に参加している。
この紹介に際し、ジウマ大統領は昨年の6月にエドワード・スノーデン氏によって暴露された、米国国家安全保障局(NSA)による世界規模でのスパイ行為を引き合いに出して米国批判を行った。この演説の際、スノーデン氏の顔写真を印刷した紙を顔にかざす参加者の姿も見られた。
今回の会議の主目的の一つには、現在米国が主導となっている国際的なネットの管理機構ICANNの機能を、今回同会議に参加したほかの国に動かすことの議論が含まれている。
同会議に出席したパウロ・ベルナルド通信相は「ブラジルが会議の主役になることが出来た」と評した。
だが、マルコ・シヴィル法に関しては、ドイツ代表から「ネット管理のメカニズムとして見るべきものがない」と言われたことをはじめ、他の国の代表からも「制定の意義はあるが、現状ではまだ法としては不十分だ」との意見も飛んでいた。