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15日に建設会社から形式的に引渡されたイタケロン会場。壁面ガラスがすべて同社製品(Foto: Marcos Favari / Odebrecht Infraestrutura,07/01/2014)

イタケロンに旭硝子製品納入=W杯開幕試合会場の〃顔〃=東側外壁は世界最大画面に=W杯用ガラス製ベンチも公開

ニッケイ新聞 2014年4月26日

 旭硝子株式会社(AGC、石村和彦社長、本社=東京)が24日、W杯開幕戦会場のアレーナ・コリンチャンス(イタケロン)に、全てのガラス素材を供給したと発表した。23日午後にはサンパウロ市イタイン・ビビ区のカーザ・イタインで、「競技者用ガラスルーフベンチ」を報道陣、関係者向けに初公開した。この記者会見には同社アンバサダー(大使)を務める元ポルトガル代表のルイス・フィーゴ氏も出席し、W杯全12会場に設置される同社ベンチ製品に対し、耐久性、安全性、デザイン全てに太鼓判を捺した。

フィーゴ氏と共に会見をする石村和彦社長(左)

フィーゴ氏と共に会見をする石村和彦社長(左)

 イタケロンの手すり、仕切り、VIP席、外壁に使用されるガラス製品は、総面積7万2千平米に及ぶ。場所に応じた製品が納められ、VIP席は適度な日光の可視性を実現させ、快適な観戦が可能となっている。

 同会場の東西両側の〃顔〃ともいえる、外観印象を決定付ける壁面ガラスも同社製品。特に東側は幅170メートル、高さは20メートルの巨大なもので、1・2メートルのガラス板を1300枚も設置し、動画を映し出す世界最大級のスクリーン機能を持つ。

 広報資料でブラジルAGCのダビデ・カッペリーノ社長は、「コリンチャンスのチームカラーである白と黒を製品に組み込んだ。我が社の技術はイタケロンにぴったり。この建設計画に関われて光栄に思う」と喜びを示し、「耐久性、可視性に優れ、店舗や美術館などでも活用できる」と期待を込めた。

 W杯全会場の選手用ガラス製ベンチは、国際サッカー連盟(FIFA)との企業間契約により実現。会見では横11・5メートル、高さ1・9メートル、奥行き1メートルの23人用ベンチが初公開された。

 強度は従来の8倍となり、ローラー付きで持ち運びも可能。映り込み度合いは従来の13分の1に低減され、客席から試合展開や控え選手らの表情がよく見える。11年に世界最優秀選手に選ばれたフィーゴ氏は「最高峰の技術を導入してくれた。抜群のすわり心地で、試合に出たくなくなる」と冗談を交えながら太鼓判を捺した。

 昨年6月のコンフェデ杯ではガラス素材のみの契約だった。石村社長は「今回は枠組み、ウレタン性クッションなど全てAGC製。コンフェデ終了後から実質半年間で、全部署が力を合わせさらなる開発を重ねた」と自信を込め、「W杯という一大イベントを通して、ガラスの持つ可能性、進化を世界に発信したい」と意欲を見せている。