中央銀行によると、3月の経常収支は62億4800万ドルの赤字で終わり、第1四半期(以下、第1Q)の経常収支は過去最大となる252億ドルの赤字を計上したと26日付伯字紙が報じた。この額は同期間中の国内総生産(GDP)の4・71%に相当する。
3月の経常収支赤字額は、貿易収支が若干改善した事や国内で活動する外国企業による国外送金減少などで1月や2月より減少したものの、国外の投資家からの外国直接投資(IED)額の49億9500万ドルを上回り、外貨準備高を取り崩す必要が生じている。経常収支赤字額がIEDを上回る状態は13年8月に始まり、直近12カ月の累積赤字がGDPの約3・6%という状態も8カ月連続している。
これにより、第1Qの経常収支赤字額は、1970年に中銀が統計を取り始めて以来最悪の250億ドルに達した。この額はGDPの4・71%に相当し、IEDの累計額147億7千万ドルを大きく上回っている。経常収支の赤字は今後も膨らむ見通しで、中銀は年内の赤字額は800億ドルに至ると見ている。
経常収支は、輸出入の差である貿易収支、輸送や旅行、通信、建設その他のサービス収支、外国への出稼ぎによる報酬の受け取りや国外投資による利子や配当金収入などの所得収支、政府間の無償資金援助などの経常移転収支の四つからなる。
国内製品の輸送費や外国旅行者からの収入や国外での支払いなどはサービス収支で、ブラジルからの旅行者が第1Qに外国で費やした金は昨年同期比1%増に止まった。昨年同期は一昨年同期比で18%増だったから、国外での支出額は大幅に減少した事になるが、輸送費や国外での機器賃借料などは昨年同期から変わっていない。
経常収支の赤字は、金融派生品の購入やIEDその他の資本収支と呼ばれる投資、中でもIEDで埋めるのが最も健全とされるが、第1QのIEDは同期間中のGDPの2・65%相当の141億7千万ドル。昨年同期の2・47%より増えたが、経常収支の赤字を埋めるには不十分だ。
ブラジルの現状に関し、国際金融機関(IMF)は年間GDPの3・6%に相当する800億ドルの経常赤字は、英国を抜いて世界第2位の高額となると見て警告中だ。GDP比での赤字が3・6%という数字は先進・新興国、地域(G20)の中で3番目に大きい。GDP比の赤字額最高はトルコの6・3%や南アフリカの5・4%だが、不安定感が目立つ国にはブラジルやインド、インドネシアの名前も含まれている。