サンパウロ市人権市民局長が、アクレ州がハイチからの移民をサンパウロ市に移住させている政策について苦言を呈した。29日付伯字紙が報じている。
サンパウロ市によると、アクレ州からは4月に入り約800人のハイチ移民がバスで到着したという。そのうち400人は友人宅などで生活しているが、残りの120人はサンパウロ市の宿泊施設、280人は中央部グリセーリオにあるカトリック教会「移民の家」で生活している。
2010年のハイチ大地震以降、ボリビアを経由してアクレ州に入る不法移民が急増している。だが、その数が増えすぎたこととマデイラ川の増水などで不法移民への対応が同州の手におえなくなり、同州が長距離バス代を負担して、移民たちの居住希望が多いサンパウロ市に向かわせている。
これに関し、サンパウロ市人権市民局のロジェリオ・ソッティリ局長は「やって来た移民たちは両手を広げて歓迎し、生きていくのに最低限の環境を与えたい」としたものの、「だが、彼らの人権保障のための連絡もなく、移民たちを立ち退かせようとするアクレ州の態度は許しがたい」と同州への不満を口にした。
これは、先週、ジェラルド・アウキミンサンパウロ州知事が「アクレ州は何の予告もなく移民たちをバスで送り込んで来ている」と語ったのに次ぐ、不満の表明だった。
フェルナンド・ハダジサンパウロ市長はアクレ州に不満を示す一方、28日にチオン・ヴィアーナ同州知事への電話でソッティリ局長の発言を詫びた。
一方、アクレ州のニウソン・モウロン法務人権局長は「立ち退きなどとんでもない。サンパウロ市には移民に対する偏見がある。これが米国やイタリアの白人なら文句は言わないはずだ」と遺憾の意を示した。
マノエル・ディアス労働相は28日、「移民の家」を訪れ、ハイチ移民向けの労働手帳即日発行などについて言及した。