全国運輸連合(CNT)が4月29日、MDAによる世論調査の結果、ジウマ大統領の支持率が低下する一方、野党候補の支持率が向上し、決選投票の可能性が出てきたと発表した。ルーラ前大統領復帰を求める声も高まる中、労働者党(PT)は週末の党大会でジウマ大統領の出馬を公表する可能性があると4月30日付伯字紙が報じた。
10月の統一選挙で再選を目指すジウマ大統領が、バイア州で持ち家政策「ミーニャ・カーザ、ミーニャ・ヴィダ(MCMV)」の入居者に新居の鍵を渡したその日、CTNが、次期大統領選でのジウマ大統領支持率が37%に低下し、決選投票の可能性ありとの世論調査の結果を発表した。
MCMVはジウマ大統領の看板政策の一つで、国民と顔を合わせて自政権への支持を呼びかけるのに最大限利用されている。住宅完成後も大統領が出席出来ず、鍵の受け渡しの儀式が1カ月以上遅れる事もある程だ。
PTのジャケス・ヴァギネル知事に「貧困者の女王」と呼ばれた大統領は、世論調査の結果も踏まえ、「国民が社会格差の縮小、雇用の拡大などを勝ち取ってきた事を忘れて後戻りする事はないと信じている」と発言。間接的な形で再選へのアピールを行った。
ジウマ大統領の発言の下地となった世論調査での支持率は、大統領が2月調査の43・7%から37%に低下する一方、民主社会党(PSDB)のアエシオ・ネーヴェス氏は17%から21・6%、社会党(PSB)のエドゥアルド・カンポス氏も9・9%から11・8%に向上。統計上の誤差を入れると野党候補二人の支持率の合計とジウマ大統領の支持率はほぼ同じで、決選投票となる可能性が出てきた。弱小政党の候補も入れた場合の大統領支持率は36%で、他の二人の候補の支持率合計の34%との差は更に縮む。
現時点では、アエシオ氏との決選投票の場合は39%対29%、カンポス氏との場合も41%対24%で、ジウマ大統領再選の可能性が強い。
だが、これまでは一次投票で当選とされてきた大統領が決戦投票に臨まねばならない可能性が強まったのは、ペトロブラスを巡る問題の責任を問う声や、野党候補が変革を求める国民の支持を集め始めた事の表れだ。大統領への拒絶率が37%から43%に高まり、アエシオ氏の32%やカンポス氏の30%を上回っている事も国民の不満の表れといえる。
一方、PT内や連立与党内で「戻れ! ルーラ」の声が高まっている事もあり、29日に開かれたスポーツ記者との夕食会でも「誰も私をルーラ氏から引き離さないし、ルーラ氏も私から離れない」「ペトロブラスの印象悪化に繋がる言動も不当」と宣言した。
PT内では、3、4日開催の党大会で再選に向けた戦略について協議する傍ら、早々にジウマ氏出馬を公表する意向だ。