4月に75周年を迎えたサンタクルス病院(石川レナト理事長)が28日に記者会見を開き、2013年の経営や今年の計画、力を入れている事業などについて、理事長や医師代表者らが語った。連続した赤字経営、医師協会との不和など深刻な経営難にあった同病院が、役員を一新し新体制を整えて3年目に入り、徐々に成果が上がっているようだ。 銀行負債額は昨年とあまり変わらないが、昨年の決算では総収入が1億6600万レで、前年比10・5%増収。単年度の収支残高は、一昨年の872万レを上回り1028万レとなり、そこから税金などの経費を引いた純利益が140万レ余となった。 収入増加の主な原因は、手術数の6%増加および集中治療室利用収入の増加によるもの。14年は月の平均収入1600万レを目指し、総収入は1億9200万レを目標とする。 特に注力しているのは、医療従事者および協力機関の拡大努力、サービス提供者・機関との契約の見直し、借入に関する再交渉などだという。
専任理事のフェルナンデス・レオネル医師によれば設備投資もすすめており、昨年は200万レ余を、部屋の改装や最新鋭機材導入等のために費やし、「医師が働きやすく、患者にとって安心な環境づくりに努めている」という。 医師協会との間にあった軋轢に関して、運営陣と医師らとの関係改善のために、定期的に合同会議や研修を行い、医師のための情報センターを創設するなど、ストレスの少ない快適な勤務環境の実現のために新体制づくりに取り組んだ。 石川理事長は「人間的な対応サービス」をめざしたいと語り、医療従事者を含む全職員の研修に力を注ぐ。「サービス提供者が変われば、病院の雰囲気も変わる」と言い、自らできるだけ研修に参加する。 キタムラ・アメリコ・キヨシ診療部長によれば、公益福祉団体の免税認可登録(CEBAS)の更新状況については、「あと一歩のところまで手続き完了が近づいている状態だ」という。 プラザッキ売却について石川理事長は、「公式発表できる段階にないが、売却に向けて交渉が最終段階にある」と言い、「1万人ほどいる加入者が当病院を利用できることは最低限の条件」と明言し、「交渉がまとまり次第近い将来に発表する」と語った。 同病院は移民25周年(33年)を記念して定礎式が行われ、皇室の御下賜金を受け同胞社会が力を合わせて39年に落成し「日本病院」と言われた。戦争中に連邦政府に接収され、1990年にコロニアが経営に再び参加するようになった。石川理事長は「できるだけ資料などを収集し、病院の歴史を本にまとめたい」と意気込んだ。