6月12日開催のサッカーのワールドカップ開会式では下半身麻痺の人が始球式(始蹴式)を行う事になっており、4月29日にはそのために使う特別仕様の〃服〃のテストが行われた。
開会式で下半身麻痺の人が芝の上を歩いた上、シュートまで行うというアイデアは「アンダール・デ・ノヴォ(もう一度歩く)」というプロジェクトにまとめられている。
同プロジェクトでは、神経科学者のミゲル・ニコレリス氏を中心としたスタッフが脳からのサインを受けて筋肉を動かす神経役のロボットを作製し、それを装着した患者が観衆の前で歩き、ボールを蹴るという流れを設定している。
4月29日に行われたテストの様子を写した画像や写真は公開されていないが、ミゲル博士は同日、「12時21分にBRA―サントス・ドゥモンⅠが、患者の脳の活動によってコントロールされた歩行とシュートを行った」とフェイスブック上に書き込んでいる。
ミゲル博士は、28日にも、下半身麻痺の患者3人が同じロボットを装着して18歩ずつ歩き、シュートを行ったと書き込んでいる。
実際にロボットを身につけた患者の姿などは公開しておらず、下半身麻痺の患者を歩かしめたロボットがW杯の予行練習でも登場するか否かも明らかにされていない。ロボットが自身の重さと患者の体重を支えて歩く事が本当に可能なのかとの質問にも、「返答しかねる」との返事が返ってきたという。
いずれにせよ、歩行困難になった人々が再び歩く事が出来るようになるための大きな一歩が刻まれた事が確かなら、W杯の場でも、人生の勝利のシュートを行う姿が多くの人に感動を与える事は間違いなさそうだ。(1日付エスタード紙より)