国連難民高等弁務官事務所のブラジル代表アンドレス・ラミレス氏によれば、メルコスール諸国間で結ばれた協定でコロンビア人、アルゼンチン人、パラグアイ人、ウルグアイ人、チリ人、ペルー人はブラジルに永住する権利が与えられている。この協定のため、これらの国の出身者は難民申請手段を取らないケースがほとんどだという。
コロンビア人の次に多いのがアンゴラ人で国内に1062人いる。アンゴラは1975年11月にポルトガルから独立したが、アンゴラ開放人民運動(MPLA)とアンゴラ前面独立民族同盟(UNITA)双方がそれぞれの政府を樹立し、内戦状態に陥った。
その後2002年、UNITAのザビンビ議長の戦死を契機に和平機運が高まり、休戦協定が結ばれ、約30年間に及んだ内戦に終止符が打たれた。この協定のもと、国内の治安が安定し、国際協力機関が内戦中に発生した多くの国外難民と国内避難民の帰還を支援しているため、ブラジル国内のアンゴラ難民数も、今後は徐々に減っていくと見られている。
ただ、既にブラジルに長年住み、文化的にも経済的にも適応した人に関しては、このまま永住権を持った外国人として住み続ける方法も残されている。
その次に多いのはコンゴ人で、617人が難民として認められている。その次に多いシリア人は、昨年は333人の申請者のうち284人が難民として認められた。
昨年のブラジル国内の難民申請者のうち、43%にあたる2242人がアフリカ出身者で、39%にあたる2039人がアジア出身者だった。
昨年の申請数が最も多かったのはバングラデシュ人の1837件だが、その中で難民として認められたのはたった1人だった。その次に多かったのはセネガル人で申請件数は961件だったが、認められたのは4件だけだった。
国家法務局によれば、難民申請するバングラデシュ人とセネガル人は経済的な理由でブラジルに入国している場合がほとんどで、難民申請する条件を満たしていないという。
一方、2010年の大地震以降、国境を越えて入国する人の数が急増したハイチ人も、難民とは見なされない。難民は人種、宗教、国籍、社会集団、政治的意見などが理由で迫害を受けていることを証明できる人と定められているからだ。ハイチ人の場合は入国者数があまりに多いため、政府も例外措置を取って特別な人道支援的な性質のビザを発行。他の不法入国者とは異なる扱いをしているのが現状だ。
ちなみに、諸外国と比べるとブラジルが受け入れている難民の数は少ない。世界で最も多くの難民を受け入れているパキスタンでは国内に160万人もの難民がおり、レバノンに至っては国の人口の4分の1にあたる100万人がシリア人難民で構成されている。(4月24日付G1サイトより)
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