創立75周年事業の一環でサンタクルス病院(石川レナト理事長)は、創立当時に使用された資料をサンパウロ市文協へ寄贈した。それに伴い、文協は移民史料館内にある同病院展示スペースを改装し、4月29日にその再公開セレモニーが行われ、同病院関係者ら約70人が参加した。
今回寄贈された資料は移民百周年時に、同病院関係者が日本の外務省へ赴き、手に入れたもの。同病院は建築資材を日本から輸入、天皇陛下から御下賜金を賜るなど日系社会のなかでも特異な経歴を持つ。資料の中には当時の責任者の肉声が入ったテープなどもある。
同病院の横田パウロ元理事長は「当時の天皇陛下や外務省、企業の動きがわかる貴重な資料。日系社会の研究者にはぜひ見てほしい」と話す。森口イナシオ忠義史料館運営委員長は、「貴重な資料をいただけて光栄。多くの方に紹介できるよう展示の仕方も考えていきたい」と話した。
来賓として在聖総領事館の福嶌教輝総領事、飯星ワルテル連邦下議、遠藤浩昭JICAブラジル事務所次長らが出席。
石川理事長は「この病院の運営に携われたことを光栄に感じています」とあいさつし、「建設当時の精神を忘れず、ブラジル社会に貢献できる病院を目指していきたい」と抱負を語った。
その後、75周年を記念した演奏会が開かれた。有名な音楽家のジョアン・カルロス・マルチンス氏を中心としたカメラッタ・バシアナ基金オーケストラと、気炎太鼓の演奏が行われ、約200人が訪れた。
マルチンス氏は若い頃に世界有数のピアニストと言われたが、ニューヨークで演奏した際、落下事故で指が動かなくなった。その後、長い時間をかけて奇跡的な復活をとげ、現在は指揮者としても活躍している。