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防水シートや竹で組み立てたテントが並ぶノヴァ・パレスチーナ(Marcelo Camargo/ Agência Brasil)
防水シートや竹で組み立てたテントが並ぶノヴァ・パレスチーナ(Marcelo Camargo/ Agência Brasil)

MTST=イタケーラ地区で〃民衆のコッパ〃=2500家族が不法占拠=周辺地区の家賃高騰訴え=大衆住宅の建設を要求

 MTST(ホームレス労働者運動)の集団、数百家族が3日未明から、サンパウロ市東部イタケーラ地区カルモ公園に隣接する15万5千平米の私有地を占拠し、ものの40時間のうちに約2500のテントを張った。この集団の目的は同公園の一部を大衆住宅建設用地とするようサンパウロ市議会に圧力をかけることで、この動きを「民衆のコッパ」(Copa do Povo)と名付けている。3日~6日付け地元メディアが報じている。

 占拠された土地は、W杯の開幕試合があるイタケロン・スタジアムから約4キロ地点にある。運動家らは、この不法占拠の主な理由にスタジアム周辺地区の家賃高騰を挙げた。
 2500のテントを張った家族は同地区内でも治安が悪い貧困地域から来ており、市役所から毎月300レの家賃補助を受けている。しかしこの地区では4部屋ある家の家賃が平均月600レに上がり、補助金だけでは家賃を払えなくなっていると主張している。
 MTSTリーダーのギリェルメ・ボウロス氏はエスタード紙の取材に、今月末にも行われる総合開発法案(プラノ・ジレトール)の2度目の投票で、この地区をZeis(社会事業向け特別ゾーン)に含めるよう、議会に圧力をかけることが目的と話している。
 軍警によれば、この集団は3日未明、17台のバスと50台の車とバイクで移動してきており、大半が家具やベッド、冷蔵庫まで持ち込んだ。
 不法占拠3日目となる5日、「民衆のコッパ」エリアには既に新しくテントを張る場所がなかったが、新しく到着した集団の一部はカルモ公園内の保護森林エリアにまで侵入し、テントを張っている状況だ。
 建築作業員の補佐として働くラファエル・ゴメスさん(18)には妻と3カ月になる娘がいる。近隣のフェラース・デ・ヴァスコンセーロス市に両親らと住んでいたが、持ち家を求めて土地を不法占拠するのは今回で3度目だ。先の2回は強制退去させられたため、「今度こそはここにいたい。ミーニャ・カーザ、ミーニャ・ヴィーダの集合住宅が建てられることを望む」と話している。
 サンパウロ市では昨年からホームレスによる不法占拠が増え、その数は昨年だけで90件に及んだ。サンパウロ市の住宅不足は深刻で、市役所は90件中81件で、不法占拠された土地を大衆住宅を建てるための社会政策向けゾーンにする措置を取った。
 6日付フォーリャ紙によれば、今回のイタケーラ地区の占拠に関してハダジ市長は、もし占拠された私有地の持ち主がIPTU(不動産所有税)を滞納している場合、その地を低所得者層向け政策用の土地にする可能性を示唆した。今年3月に約8千人が南部ノヴァ・パレスチーナ地区の土地を不法占拠したが、市長はこの時も、この土地を大衆住宅建設地にすると約束している。
 6日付G1サイトによればサンパウロ市では現在23万軒もの住宅が不足しており、2016年までに5万5千軒を建設することが目標とされている。