コラム子が最近スーパーで買う野菜はほぼオルガニコ(有機栽培)。農薬大国ブラジルでは使用量が多く、他国で使用禁止の農薬まで使われていると聞く。有機食品は多少割高だが健康には代えられない▼当地の有機食品市場の成長率は年間20%。連邦政府もW杯を利用して有機食品の宣伝に力を入れだした。今サンパウロ市で開催中のスーパーマーケット見本市「フェイラAPAS」にも初の有機コーナーが登場。有機鶏で有名な「KORIN」ブースも盛況で、消費者の関心の高まりが伺えた▼ところで「有機食品といえば無農薬」が定番イメージだが、もっと注目されていい理由に「抗生物質不使用」がある。抗生物質は作物の病気予防や成長促進剤として使われるが、近年その危険性が認識され始めた。同ブースの守川レジナルド管理責任者から「実はブラジルには抗生物質に関する規制がない。一般的な養鶏場ではあらゆる抗生物質が使える」と聞き驚いた▼抗生物質入りのエサを食べたねずみは、抗生物質不使用のエサを与えたねずみの2倍ほど太るとの研究結果があるという。病気をせず早く育つので飼育は楽で、手間が省けて安く上がる。しかし、それが消費者の健康に与える影響は別問題だ。守川さんは「ブラジルの肥満の多さと抗生物質の使用は無関係ではない」と警告を鳴らす▼ほんの一世紀年前までは、ほとんどの食品が〃自然〃だった。様々な化学物質を開発し、土地も野菜も生き物も薬品付けにした上で、次は「健康に良い有機食品を普及しましょう」と宣伝する現代の食のあり方自体が、どこかゆがんでいる。「有機食品ブーム」と騒ぐことすら少し滑稽な気がする。(阿)