中央銀行が7日、4月のポウパンサ(貯蓄預金)の引き出し額が預け入れ額を上回ったと発表した。ポウパンサが出超となったのは12年2月の4億1250万レアル以来だが、利子を含めた預金総額は記録更新と8日付伯字紙が報じた。
4月のポウパンサ引き出し額は1241億レアルで、預け入れ額の1228億3千万レアルを12億7千万レアル上回った。今年の累積は預け入れ額が引き出し額を41億レアル上回り、利息を含めた預金残高は3月比0・34%増の6150億レアルとなった。
4月のポウパンサ引き出し額増加は、インフレによる家計圧迫と、経済基本金利引き上げで利率が良くなった他のファンドへの移行、ローン返済金利が高くなったりして負債を抱える家庭が増えた事等が原因だ。
経済基本金利引き下げで他のファンドの利率が良くなった事には、12年5月4日からのポウパンサの利率変更も影響している。現在のポウパンサの利率は月0・50%(年6・17%)+参考金利(TR)だ。
変更後に預け入れ4月満期のポウパンサの利率は6・87%で、固定ファンドや投資ファンドの7・04%と7・66%より利率が悪い。利率変更前に預けたポウパンサの4月満期の利子は7・16%で、ファンドより利率が良かった。
一方、9日発表の直近12カ月間の拡大消費者物価指数(IPCA)は6・28%で、3月末の6・15%より拡大。この下半期には6・5%を超える見込みだ。8日の労組間社会経済調査統計所の発表によると、セスタ・バジカの価格は首都と州都計18市中17市で最大14・43%上昇するなど、庶民の家計は益々圧迫されている。
同統計所はポルト・アレグレのセスタの価格を基に理想の最低賃金は3017・07レアルと試算したが、13年の労働者の平均給与は1929レアルで、現実の最賃は724レアルだ。
また、負債を抱える家庭は62・3%で負債返済額が家庭に占める割合も増加。9日付エスタード紙によると、基本金利引き上げでローン等の返済金利が高くなった事もあり、返済が90日以上遅れる債務不履行は10年1月の統計開始以来最悪の昨年同月比8・6%に拡大。債務不履行者は5380万人で3月より130万人増えた。
債務不履行増加は雇用創出減少とも関連しており、4月30日発表の6大都市圏の3月の失業率は11%で2月の10・3%より拡大した。
9日付フォーリャ紙は電気料金は年内に21・4%調整されるとも報じており、インフレ昂進等で落ちた購買力を補い、返済の遅れを防ぐためや利率の良いファンドへ移行するための取り崩しは当面続きそうな状況だ。