MPB歌手のジャイール・ロドリゲスさんが8日亡くなった(9日付け本紙2面で詳報)とても親日的でコチアの家には和室もあった。1981年に初訪日、日本ツアーは8回。マネージャー役を務める妻クロジーネさんは母親が日系三世のメスチッサだから当然か▼06年に憩いの園「緑の祭典」の舞台。「チョットマッテクダサ~イ、スイマセン、オネガイシマ~ス♪」。軽快なリズムに乗った日本語の歌で会場を大いに沸かせた。聞けば、同園理事と知り合いで、魚釣りに行ったさいに出演を頼まれ、快諾したという▼ステージだけかと思ったら、普段のシャベリも動きもノリノリで、「ラップは俺が始めた!」とも。印象深いのは、記者泣かせのコメントだ。「日本食? 好きだよ。イタリア料理もアラブ料理も大好きさ。俺が食べないのは熱く熔けた鉛だけだよ! ハ~ハッハッ!」「日本の印象? 俺はどこでもみんなに歓迎されるんだ。ドイツでもアメリカでも。つまり世界がわが家ってわけだ!」▼酒で乾杯、差し入れられたヤキソバに最高の笑顔を見せ、「大好きなんだ。持って帰って家で食べるよ!」と脇に抱え、握手を求める来場者たちとトレードマークの満面の笑みで話している姿を思い出す。ブラジルのミュージシャンは概してきさくだが、輪をかけてーという感じだった▼きまぐれかと思いきや、翌年には、音楽界で活躍する日系四世の娘ルシアーナ・メーロ、息子ジャイール・オリヴェイラさんと共に二年連続で同じ舞台に立つなど、とてもコロニアに協力的だった。冥福を祈りたい。 (剛)