今日15日より、深刻な水不足に陥っているカンタレイラ水系が、これまで使用していなかった「ヴォルーメ・モルト(未開の水域)」の使用をはじめる。サンパウロ州政府はこれで今年の給水制限を回避する構えだが、依然として様々な疑問は残る。14日付伯字紙が報じている。
大サンパウロ市圏とカンピーナス地方で約1300万人の市民に水を供給しているカンタレイラ水系の貯水量は14日現在で8・4%まで落ち込んでいるため、本日15日から、貯水池の取水口の下にある「未開の水域」の使用をはじめる。同水域は水系全体で4810億リットル分の水を有しており、そのうちの1830億リットル分が開放されることになるという。
13日現在の同水系の貯水量8・6%は837億リットルに相当するので、1830億リットルの水が開放されれば貯水量全体の18・5%分の水が加わることになり、使用可能な水の量は、貯水量の27・1%まで上昇することになる。
「未開の水域」の水の取水は、13日現在の貯水量が1・8%となったジャグアリ/ジャカレイー貯水場と、アチバイーニャ貯水場の2カ所で行なわれ、各々、1050億リットルと780億リットルが汲み上げられる予定だ。
だが、この「未開の水域」の使用が長い目で見て水不足の解決になるのか疑問視する声もある。国家水資源庁(ANA)は13日、カンタレイラ水系の現状での解決策について、「(現在のペースで取水し、少雨の状態が続けば)11月を前に干上がってしまう」との声明を出した。
ANAのヴィセンテ・アンドレウ・ギロ長官は「私たちは悲観主義者と呼ばれることになるだろうが、楽観主義者の中には、来年の1、2月、さらに今年の9月には多く雨が降ると予測する声もある」と語っている。
それに対し、サンパウロ州の衛生水資源対策局のマウロ・アルセ局長は「市民による節水対策や他の水系からの分配などの対策を併用すれば、来年の3月までは大丈夫だ」と語った。サンパウロ州政府は12日に「昨年12月からの旱魃状態は、3378年ぶりの異常事態」との研究結果を発表し、今回の旱魃は例外的なものだったと強調している。
だが現時点で次の雨季に今回のような旱魃が繰り返されないと保証するものはなく、サンパウロ州水道局(Sabesp)の中には、12月に「未開の水域」開放を500億リットル分追加する必要性を説く声もあるという。
今回のこの「未開の水域」開放のための諸設備に、サンパウロ州は8千億レアルをつぎこんでいる。
一方、ジウマ大統領は13日、セアラ州でサンフランシスコ川の疎水工事(北東伯への水の輸送工事)に立ち会った際、「サンパウロ州の水不足は計画性のなさが招いたものだ」と発言。名前こそ出さなかったものの、ジェラルド・アウキミンサンパウロ州知事と民主社会党(PSDB)を批判した。