6月12日にW杯開幕会場となるイタケロン(アレーナ・サンパウロ)を見学した。サンパウロ日伯援護協会が運営する自閉症児療育学校PIPAの子どもら10人余りに同行して、ちょうど一カ月前となる13日に取材した。詳しくは日系社会面記事「PIPAがW杯開幕会場視察」を参照してほしい。ここでは、そこで書けなかった番外編エピソードを写真と共に紹介する。
所轄の軍警察署の招待でマイクロバスが用意され、なんとパトカー3台、白バイ2台の護衛付きの〃VIP待遇〃。職員は子ども以上に興奮し、整髪油を持参して子どもの髪形もネイマールに倣って、その場でモヒカンにするなど、みんなで大はしゃぎ。
地下駐車場から入ると、正面が選手入場口だ。地下通路は新築ならではの、ペンキなどの刺激臭が充満しており、息苦しいほど。
ようやくピッチに立って深呼吸。きれいに刈りそろえられた芝生から、目線を上に移すと作業員が目立つ。特に仮設客席部分の作業が未完成の様子が手に取るようにわかる。本当にあと一カ月で完成するのか、と地元住民でなくとも心配になる。
特別に選手控室にも。一カ月後にはブラジル代表が着替えるかもしれない場所に、子どもらが座って記念撮影。
あっ、知らない間に子ども達がさっそくトイレでおしっこを――。きっと我慢できなかったに違いない。しかもセレソンよりも、コリンチャンスよりも先に…。そんな男性用トイレを本紙読者向けに特別に先行公開!
ちょっと気になるのは、ジャグジーバスの工事がまだ真っ最中な様子。写真を撮られるのもちょっと嫌そう? 「大丈夫なの」と聞くと、「あと仕上げだけ」とは作業員の言葉。でもこの5日後の日曜18日にはブラジル全国選手権のフィゲイレンセ戦公式戦だし…。
見学を終えて出る間際、ふとピッチの方を見ると、忙しいはずの作業員がみなスマートフォンやらに夢中になっている様子。本当にこれで作業は〃急ピッチ〃で進んでいるのか、と一抹の不安が――。
アレーナの中はそれなりに完成まじかという感じだが、工事の遅れが目立つのは、なんといっても主要交通路メトロのイタケーラ駅との通路部分だろう。まるで土がむき出しの工事現場そのもの。本当に間に合うのかと、こちらは本気でハラハラ。
でも当日には、何とかカンとか〃完成〃してしまうのがブラジルの七不思議?!(深)