マリンガ日本公園の目玉の一つは、灰色の鳥居ではないか。そこにはJICA派遣の造園専門家、川下滉さんの強い意志があったようだ。
「本物の日本庭園を再現したいという、強いこだわりがあったんでしょう」と、JICA関係者は説明する。ブラジル人の感覚では鳥居は赤いもの。
「命の躍動感を表現」「厄除け」「表面防腐」がその理由だそうだが本来、木や石そのものが用いられた。必ずしも、朱色にする必要はない。
庭園に設置する巨大な石もパラナ州内にとどまらず、サンパウロ州アチバイアからも運んできた。姉妹都市の兵庫県加古川市から持ち込んだ瓦も存在感を見せる。
川下さんの任期は08年までの約2年だったが、非日系を含めた地元住民らが誇りを受け継ぎ、精力を注いだ。日本人の魂が存分に詰まった本物の日本庭園と言えそうだ。(祐)