【既報関連】W杯まで28日だった15日、全国でW杯への出費等に抗議する活動が行われ、サンパウロ市では商店や銀行襲撃なども起きたと16日付伯字紙が報じた。15日の抗議行動はインターネットで呼びかけられ、全国50以上の都市で開催されたが、参加者は総計2万人強だったようだ。
15日を「W杯に対する国際抗争デー」とし、「W杯の不正に対する抗議行動」と称して行われたアンチ・コッパ(W杯反対)運動は、9州と連邦直轄区で100~1万5700人の参加者を得て展開された。
参加者総計が1万5千人以上に上ったのは大サンパウロ市圏で、サンパウロ市でのW杯反対デモは午後5時頃からパウリスタ大通りに集結した約1500人の参加者によって始まった。
午後7時前にMASPを出発したデモは平和裏に始まったが、コンソラソン通りに入ってからはブラック・ブロックと見られる参加者らが商店のシャッターを叩くといった行為が始まり、7時15分頃、軍警が最初の催涙ガス弾を使用した。
軍警のガス弾使用はデモ参加者が警察のブロックを通り抜けようとした事や投石などを行った事がきっかけとの声もあるが、これによって暴徒化した一部の参加者はゴミの袋に火をつけたり、ゴミ箱を破壊したりするなどの行為に至り、サンタンデール銀行やヒュンダイ販売店襲撃も起きた。この混乱で、映画館から出てきた女性が顔面に大怪我をして入院し、カメラマンが足を骨折など、軍警1人を含む5人が負傷。火炎瓶やハンマーなどを所持していたブラック・ブロックら8人が身柄を拘束された。
サンパウロ市では、8千人参加の市立校教師デモや、4カ所で計4~6千人の参加者を得て行われたホームレス労働者運動(MTST)の抗議行動、金属労組やテレセンター元職員らのデモも起きた。
警官との抗争は、デモ隊がマネ・ガリンシャ・スタジアムを管理するテレカッピの建物の入り口を封鎖しようとしたブラジリアと、無賃乗車運動家らが繰り出したフォルタレーザでも起きた。
やはり1500人規模でW杯反対のデモが起きたリオ市では教師や銀行警備員などの抗議行動も行われ、W杯反対の集団は教員達と合流し行進。デモ終了後、一部の参加者が破壊行為も行った。
ベロ・オリゾンテ市では同市やコンタージェン市職員らのスト参加者も加わり2千人規模のW杯反対デモが行われ、ヴィトリアでも州立、市立校教師らのストと統合してのデモが展開された。
国際的な報道機関の中には、W杯反対デモをブラジル民がW杯そのものに反対しているかの如く報じているものもある。だが実際には、W杯のために公金が湯水のように使われるのに未完成のままとなる可能性のある工事さえある事や、スタジアム建設等への出費で保健衛生や教育、大衆住宅向けの金が削られ、人権が守られていないなど、W杯への出費とそのあり方に対する抗議行動だ。15日の抗議行動を呼びかけたグループは、22日にも次の行動を予定している。また、ブラジリアのメンバーは、同市での試合日毎に別々のテーマを掲げた抗議行動を行う。