サンパウロ市でヴィラーダ・クウツラル(VC)やW杯サッカー開幕戦会場のイタケロン・スタジアムで初の公式戦が行なわれた18日、夕方に突如として季節はずれの雹が降り、市内が混乱した。19日付伯字紙が報じている。
今年で10回目を迎えたサンパウロ市恒例の文化祭、ヴィラーダ・クウツラルは、今年は昨年より100万人少ない300万人の動員で終わった。
動員低下に追い討ちをかけたのは、治安の悪化だった。今回のヴィラーダでは、17日深夜から18日未明にかけて計7人が銃弾で負傷し、2人がヴェルゲイロ病院、5人がサンタカーザ病院に運ばれた。19日12時時点で死者の報告はないが、そのうちの3人は重体といわれている。加えて、刃物で刺される被害にあった人も2人いた。
また、強盗や盗難も相次いだ。盗難のターゲットはジャケット、携帯電話、スニーカーなどだった。軍警によると、1300人以上に事情聴取を行なったといい、100人以上が逮捕された。また、気分が悪くなってサンタカーザ病院で診察を受けた人も約80人に上った。
こうした混乱模様のヴィラーダに追い討ちをかけたのが、18日午後5時頃に突如として起きたテンポラル(強いにわか雨)だった。サンパウロ市にテンポラルが降ったのは4月15日以来だったが、寒冷前線の影響で冷えた雨は雹となってサンパウロ市を襲い、南部アクリマソンやモルンビー、西部ラッパなどをはじめ、市内の至るところで路上が雹で白く覆われるという、暦の上では秋にあたる5月とは思えない異常事態が起きた。
この降雹で、レジス・ビッテンコートをはじめとした高速道やコンゴーニャス空港で乱れが生じた。その混乱はヴィラーダにもおよび、各ステージのトリで登場する予定だった出演者のショーが「警備不良」を理由に中止となる珍事も起きた。
また、この時間はイタケロン・スタジアムでの初の公式試合、コリンチャンス対フィゲイレンセの試合中でもあり、この雹の影響で後半の始まりが遅れるというハプニングも起きた。
だが、この雹でスタジアム内や周辺で騒動や問題が起きたという話はなく、試合前後の交通問題や観客席のイスの狭さなどを指摘する声はあがったものの、定員の約半分強の3万6千人を動員したこのW杯への予行演習的な試合に対しては、とりあえず合格点が与えられた。