沖縄県名護市による「名護市出身者子弟研修制度」で、9月から半年間、同市の名桜大学で研修を行った前田みゆきさん(29、三世)が帰国、ブラジル名護市親睦会末吉業幸会長と共に報告に訪れた。
同大では日本語と英語を学び、週に一度は海青保育園で保育士の体験研修を行った。ひめゆりの塔や読谷村など太平洋戦争に関する歴史授業や、水墨画や書道、三線などの文化研修も心に残ったという。
デカセギに出た母に連れられ、小中学時代を福井県で過ごしたというみゆきさん。研修中は、当時興味を持った書道と水墨画の教室にも月2回ずつ通った。「筆に含ませる墨の量で表現が変わる。特に顔彩という色付け用の墨を使いこなすことが難しい」と笑顔で語る。今後は学んだ技術を活かして、水墨画をデザインしたTシャツの販売会社を興すのが夢だ。
また、彼女が生後6カ月の時に交通事故で亡くなった名護市出身の父俊和さんの幼少期を知るという人物にも出会い、共に生家などを巡り思い出話を聞いた。みゆきさんは「父のことが理解できて嬉しかった」と語った。
現在も、名護の関係者とはフェイスブックを通して連絡を取っている。「これからもブラジルと名護を繋げていきたい」と意気込み、「色々な経験が自分のためになった。次の研修生も色々なことに挑戦してほしい」と後輩にエールを送った。