サンパウロ市東部イタケーラ区で、W杯開幕戦が行われるアレーナ・コリンチャンス(イタケロン)の建設開始以来、子供や青少年への性的暴行が横行していたことがわかった。19日付アジェンシア・ブラジルなどが報じた。
今年4月初め、児童人権保護委員会に対して少女らが証言した内容によれば、スタジアム建設現場周辺で多発していたことが判明した。
証言を集めたグループの一人、パトリシア・ベゼーラ市議(PSDB)は「イタケロン周辺では工事開始から現在まで青少年女子への性的暴行が横行している」と指摘する。スタジアム建設が始まった2011年以降に被害に遭った少女の証言を集めたという。同市議は、サンパウロ市内で起きている児童への性的暴行の実態を調査した市議会内CPI(昨年12月に終了)で報告担当を務めた。
証言者の中には、スタジアム建設作業員の一人にしつこくつけまわされ、暴行を受けて妊娠した13歳の少女もいる。
5月に同地周辺を訪れたアジェンシア・ブラジルの記者に対し、ある現場作業員は「(性的暴行は)ファベーラ近くで起きており、今でも続いている」と証言した。
サンパウロ市は、この地域が性犯罪の温床となっていることを認識しており、地域社会による保護ネットワークを構築した。この方策は、W杯のような大規模なイベント中の青少年の人権侵害防止をめざす、大統領府人権局による政策「アジェンダ・デ・コンベルジェンシア」の一部にもなっている。
また、サンパウロ市はこの種の犯罪を告発するジスキ100の広報キャンペーンにも力を入れている。昨年一年で少女らに対する性犯罪の告発が最も多かったのはサンパウロ州で、3889件に及んだ。
同種の問題に取り組むNGO(非政府組織)の「Plan International」のマーケティング・ディレクター、モニカ・ソウザさんは「売春ツアーと子供への性的暴行の告発数がかなり似通っている。キャンペーンに力を入れるのもいいが、より被害が多い地域に向けた直接的な政策を行うことの方がより重要ではないか」と指摘する。
同団体は、W杯中、特に男性の観光客が増えることで、この種の犯罪が多い地域での発生件数がさらに増えることを懸念している。また、大会期間中は学校が休みになることで、少女たちが外に出る機会がより多くなることも、同種の犯罪増加に繋がる懸念材料だという。
タグ:W杯 コリンチャンス CPI PSDB PSD 写真ニュース ファベーラ