W杯サッカー日本代表歓迎会は市関係者のみで15分――。在サンパウロ日本国総領事館(福嶌教輝総領事)が20日午後、姉妹提携を目指すサンパウロ州イトゥーと静岡県伊東の両市から関係者を招き、公邸で交流会を開催した。本紙の取材に対し、イトゥー市のアントニオ・ルイス・カルヴァーリョ・ゴメス市長が日本代表歓迎会の概要を明らかにした。
「日本サッカー協会の要望で時間、人数制限が設けられた。参加者は基本的に市政関係者のみ。日本語学習児童を数人招待する予定」。コロニアはもとより地元文協でさえ参加できない可能性を、同市長は示唆した。報道陣への公開も予定していないという。
代表本隊は暑熱対策の直前合宿地、米国フロリダで現地時間6日にザンビアと練習試合を行う。翌日に着伯し、翌8日午前に宿舎での歓迎会に臨む日程を組んでいる。同市長は「全てはW杯のため。サッカーに専念できる環境を提供する必要がある」と理解を求めた。
ロシアもキャンプ地として同市に滞在する。市立競技場はロシアが使用し、先のサンパウロ州選手権で優勝した強豪イトゥアーノと試合をする。「日本側は1日だけでも使用できないかとロシアに交渉したようだが、『真剣勝負の場だから』という理由で断られたと聞く」と同市長。結果、日本はソロカバで直前試合を組んでいるようだ。
交流会当日、伊東市から窓口となるNPO法人「インタクロス研究会」の福井千鶴(ちず)理事長(日本大学国際関係学部教授)と前川昌道副理事長が駆けつけ、イトゥー市からはアントニオ市長、イトゥー文協、同市に本社を置くブラジル・キリンなど日系企業関係者らも参加した。加えて文協、援協、県連、静岡県人会ら日系団体も出席して約60人が親睦し、連携を深めた。
福嶌総領事は「交流開始の喜びを分かち合うと共に、サッカー日伯代表の活躍を願い一緒に応援しましょう」と開催意義を説明し、新たな取り組みに笑顔を見せた。
アントニオ市長は「当市の法人税は日系企業が高い割合を占める。コロニアも市政にとって重要な存在だ」と影響力を強調し、「日本との関わりを大切にしながら、観光都市としてさらに栄えたい」と意気込んだ。
この交流会のために、わずか24時間滞在の日程で来伯した福井教授は「発音が似ている縁で始まった交流。異例の早さで対応していただけたことに感謝します」と謝意を示し、姉妹都市提携実現に向けて強い意欲を見せた。