サンパウロ州検察局が23日、フランスのアルストン社から収賄を受けていたとして、州会計検査院(TCE)のロブソン・マリーニョ氏(民主社会党・PSDB)の解任を要求した。同氏はマリオ・コーヴァスサンパウロ州知事時代に、州政府長(1995~97年)をつとめていた重要人物でもあった。25日付伯字紙が報じている。
アルストンとPSDBの黒い疑惑はサンパウロ市地下鉄のカルテル問題でも明らかになっていたが、今回の問題は、サンパウロ州内の電気システム近代化のための資材購買で、エレトロパウロ社とサンパウロ州電気送信会社(EPTE)が同社と結んだ、現在の通貨価値で1億8130万レアルの契約に関するものだ。
アルストンは他の3企業と共に1983年にエレトロパウロと契約を結んだが、この契約は88年には失効していた。
ところが、98年にサンパウロ市地下鉄の電力供給のための3変電所を購入した際、システム近代化のための物資供給契約に1983年の契約を再利用、入札も行なわずに担当業者が決められた。その契約の締結にマリーニョ氏が絡んでいたと見られている。同氏は97年からTSE勤務となっていたが、契約は同氏が州政府長時代にまとめられたと目されている。
それを裏付ける証拠として見られているのが、マリーニョ氏が98年から2005年にアルストンから受けたとされる合計270万米ドルの収賄だ。この収賄は2008年に発覚した。同社の書類の中にはマリーニョ氏を指すと思われる「R.M」というイニシャルも見つかっている。
スイス当局は2009年にジュネーヴにあるマリーニョ氏の銀行口座の残高305・9万米ドルを凍結した。この口座は英国領ヴァージン諸島に本部があるマリーニョ氏と同氏の妻の架空企業のものとされていた。
また、アルストンからの贈賄の一部は提携企業のMCAウルグアイとアクア・ラックス社を通して行なわれており、前者の元社長のロメウ・ピント・ジュニオール氏はアルストンからの金銭授受を認めており、後者社長のサビーノ・インデリカット氏はマリーニョ氏の企業のソーシオも務めている。
さらにマリーニョ氏は2001年にTSEでの職権を濫用して、三つの変電所に関するアルストンとの契約延長を正当とする判断を下した疑いも持たれている。またエスタード紙によると、マリーニョ氏の月給は3万レアルだが、リオに1千万レアルの島、サンパウロ州海岸部に700万レアルの別荘、サンパウロ市南部モルンビに400万レアルの邸宅などを資産として保有しているという。
地下鉄カルテルに関与したとされる11人の被告に対する刑事裁判はサンパウロ州連邦地裁で2月からはじまっているが、マリーニョ氏が正式に起訴された場合の裁判は高等裁判所からはじまる。
公共財務に関するサンパウロ州第13法廷が州検察局による辞任要求を審理する期間は10日以内で、検察側は30日以内に辞任に追い込む意向だ。