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公共工事の遅れが生む損失=PAC6事業で280億レ=資金横流し助長の要因にも

 連邦政府の経済活性化計画(PAC)に含まれるインフラ工事の遅れに関して、CNI(全国工業連盟)が調査したところ、6事業の遅延だけで280億レの損失が生じたことがわかった。この金額はW杯の開催費用とほぼ同等だ。26日付エスタード紙が報じた。
 CNIは本来の計画通りに工事が進められた場合に生まれていたはずの利益を金額に換算した。いずれの場合も、工事に投入されたがまだ利益を生み出していない公的資金の額も考慮している。
 例えば、サンフランシスコ川の疎水工事が当初の計画通り完成していれば北東部の農牧業が享受していたはずの利益、東西統合鉄道(Fiol)建設が計画通りに完成した場合に生まれたはずの鉱物や穀物輸送上の利益などはその代表格だ。その他の対象は、ヴィトリア空港やフォルタレーザの汚水処理システム、サンタカタリーナ州内の国道101号線複線化、マデイラ川発電所の送電線建設で、これら6事業の工事は大半が未完成だ。
 最も遅れているサンフランシスコ川の事業は2005年に着工。第一期の東側水路は2010年6月、第二期の北側水路は2012年12月に完成する予定だったが、今も工事は続いている。もし完成していれば、2010年~2015年の間に生まれたはずの利益は117億レに上る。
 この金額には、農牧業で失われた利益と、サンフランシスコ水力発電公社(Chesf)が取り込める水量減少で生産しそびれた電力料金、予算を上回った工事費用などが含まれている。
 CNIのジョゼ・アウグスト・コエーリョ政策戦略担当理事は、「3年で完了するプロジェクトが6年後に完成すれば、経済の総合的な生産性はそれだけ下がる」と指摘する。大型プロジェクトの運営が困難なのはブラジルに限らないものの、「期限が守られないことが当たり前のようになったことに注意が向けられるべき」と見解をのべる。
 同氏は、次の政権でコンセッションの実施がより強化される必要性を説き、今後の課題として、事業計画書の質を高めること、環境許可取得の簡易化などを挙げる。
 公共インフラ工事の遅れの根幹にあるのは事業計画書の不備だ。計画書の出来が悪ければ計画や予算の見直しが必要となるが、それにはコストがかかる上、資金の横流しが生じやすくなる。横流しを目的に追加で契約された道路や鉄道の建設事業は少なくない。ジウマ大統領が2011年、交通関係の政府機関の幹部らを一掃する人事を行ったのもこのためだ。
 あるコンサルティング会社が公共ロジスティック工事7件に関して調べた例では、工事期間が当初計画より約80%長くなっており、経費も平均44%増えていた。