W杯まで約2週間に迫り、全国各地でストによる混乱が起きている。ブラジリアでは27日、W杯開催に伴う巨額の支出に反発するデモにホームレスの労働者や保護区制定を求める先住民が合流し、約2500人となった後に軍警と衝突して3人の負傷者が出た。28日付エスタード、フォーリャ両紙などが報じた。
デモ隊はブラジリアの主要道路を経てマネ・ガリンシャ・スタジアムに接近したため、軍警騎馬隊がスタジアムの手前で行進を阻止しようとした。これを不服とした先住民が弓矢を使用し、騎馬隊員一人が足に矢の一撃を受けた。軍警はこれに催涙弾で応酬した。
一連の報告を受けたジウマ大統領は、大統領官邸に集まっていた35部門の企業家を前に「(昨年6月の)コンフェデ杯時のようなことは起こらない。W杯大会中に〃大騒動〃はない」と言い切り、鎮静化には陸軍出動も辞さないと表明した。
これ以外にも、W杯が間近に迫ったこの時期、全国の地方都市で、バスの従業員、公務員、教師などのストの波が広がっている。
サルバドールでは27日終日、市内の全てのバスが止まり、150万人に影響が出た。26日からのストは、従業員が12%の賃上げを求めたのに対し会社側が9%として交渉が決裂したもの。地方労働裁(TRT)はピーク時70%、通常時50%の運行を命じたが、それが無視された。
マラニョン州サンルイスでも21日からバスのストが始まり、26、27日は終日全てのバスが止まった。リオでは今月半ばに起きたバスのストが、28日午前0時から再び始まった。
サンパウロ市では、メトロ従業員組合が27日夜の総会で来月5日からのスト入りを決めた。公社側調整案は7・8%で、35・7%調整を訴える組合側との交渉が決裂。市役所職員も28日からのスト決行を決めた。
麻州クイアバ、ピアウイ州テレジーナのバスのストは27日に終わったが、ゴイアニアでは9日に始まったスト続行が決まった。また、サンパウロ州内の軍警を代表する17団体は来月4日に州政府に対して抗議行動を行うことを決めた。
マルコ・アントニオ・テイシェイラ氏(FGVの行政学コース教員)の話。「昨年以降、W杯が近づくにつれ、全国の都市では、種々の社会階層や業種の集団が公共政策の質向上や給与調整、労働環境の改善などを求めてストを行い、サービスを停止している。一方、一般市民はそれによる損害を直に受け、交通手段を失い、日常生活に支障をきたしている。これは明らかに矛盾した動き。責任の一部は三つのレベルの行政にある。ストがこの時期に集中することは以前からわかっていること。前もって透明性のある話し合いを行っていればこのような混乱は避けえたはずだ」
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