中央銀行の通貨政策委員会(Copom)は28日、9回連続で引き上げてきた経済基本金利(Selic)を、年11%で維持することを決めた。選挙まで半年に迫った今、一連の金融引き締め政策に区切りをつけた格好だ。29日付各伯字メディアが報じた。
同委員会が28日に開いた会合は4時間を要した。税率維持は全会一致で決まり、委員会後には「マクロ経済の成長とインフレへの見通しを鑑み、現段階においては11%に維持する」という声明が出された。
アジェンシア・エスタードの調べによれば、市場関係者の大半はSelicの税率維持を予想していた。だが、中銀が「現段階では」という表現を使ったこともあり、インフレは十分に抑制できていないと見る関係者は税率維持政策は長くは続かないとみており、10月からまた引き上げをはじめる可能性がある。
Selicの引き上げはインフレ抑制効果を生み、引き下げは経済刺激効果をもたらす。中銀がSelicを引き上げはじめる直前の昨年3月は、直近12カ月累積の拡大消費者物価指数(IPCA)が政府目標上限の6・5%を超え、6・59%になっていた。
Selicを引き上げはじめた昨年4月の税率は、過去最も低い年7・25%となっていた。中銀理事で構成される同委員会内でも当時は意見が分かれたが、一般に金利が高いと消費意欲が下がり、それが価格上昇への圧力も下げるとして、税率引き上げを決めた。
中銀は今年の国内総生産は2%の成長にとどまるとみており、経済の減速が長引かないよう、引き上げを一旦打ち切るという判断を下した。エコノミストらは、再び引き上げればさらに経済の減速が進み、ジウマ大統領の再選キャンペーンに支障をきたすことが懸念されているとみる。
5月15日までの拡大消費者物価指数(IPCA)は4月の0・78%から0・58%に下がった。4月までの12カ月の累積IPCAは6・28%だが、物価上昇率が鈍ったため、インフレ率が政府目標の上限以下を推移するとみたことも税率維持につながった。中銀は今年のインフレは6・1%で終わると予想しているが、この数字は昨年の5・91%を上回る。市場では6・47%で終わると見ている。
Gradual Investimentosのチーフエコノミスト、アンドレー・ペルフェイト氏は、今回でさらに0・25%ポイント上げるべきだったとし、「中銀は信用を取り戻す機会をまた失った」と話している。