ラテン・アメリカ社会科学大学が27日、2012年の殺人事件発生率は人口10万人当たり29件で1980年以来の高率と発表したと28日付G1サイトや29日付フォーリャ紙が報じた。
2014年版暴力白書によると、12年に起きた殺人事件は5万6337件で、発生率は人口10万人当たり29件。この数字は世界保健機構(WHO)が流行状態と見なす10万人当たり10件という基準の約3倍で、2003年の28・9件を僅かだが上回った。被害者が最も多い年齢層は16~25歳だった。
5万6337件という数字は1日平均154件の殺人事件が起きた事を示し、総件数は約5万2200件だった2011年を7・9%上回る。同年の殺人事件発生率は10万人当たり27・1件だった。ブラジルの殺人事件は2002~12年に13%増え、現在もその傾向にあるが、刑務所の不足などの実態が見直されていない事も問題だ。
殺人事件発生率が最も高かった州はアラゴアスで、人口10万人当たり64・6件。発生率40件以上の州は、エスピリトサント47・3件、セアラー44・6件、ゴイアス44・3件、バイア41・9件、パラー41・7件、ペルナンブッコ40・1件と続く。殺人事件発生率が20以下は、サンタカタリーナ12・8件、サンパウロ15・1件、ピアウイ17・2件の3州のみだ。
暴力白書の数字は保健省の死亡率の統計に基づき、州保安局の統計とは異なる。サンパウロ州保安局がまとめた同年の意図的殺人発生率は10万人当たり11・5件だった。
社会学者のジョゼ・イナシオ・カノ氏は、殺人事件多発は、懲罰の少なさ、政策不足、火器流通の容易さ、都市周辺部の青年などの危険なグループに対する予防策の不足の結果としている。
国連薬物犯罪事務所による国別の殺人事件発生率は、ホンジュラスの90・4件が最高だ。上位10カ国中の南米勢は2位のベネズエラ53・7件、10位のコロンビア30・8件だった。