大阪市の准看護師、岡田里香さん(29)が東京都八王子市のトランクルームで遺体となって見つかった事件で、その女性のパスポートを不正に使って出国し中国で身柄を拘束された日系ブラジル人女性が、ブラジルに引き渡されて国外犯処罰(代理処罰)裁判になる可能性が出てきた。
岡田さんと小中学校(大阪市西成区)で同級だった日系ブラジル人女性の名前は「大石ゆり」と一部で報道されており、日本育ちだ。ただし2000年から数年間、帰伯していたが、その後日本に戻り、不法滞在の状態になったようだ。
フェイスブックの基本データの言語は「日本語、ポルトガル語」になっており、ブラジル国籍。中国・上海で、ブラジル総領事館でなく日本国総領事館に27日に出頭したことから、警察権のある中国当局に拘束されている。
28日付け産経新聞は「日本側は身柄の引き渡しを求めて中国側と折衝を進めるが、女の国籍がブラジルであることが障壁となる可能性があり、日本への引き渡しがすんなりと実現するかどうかは不透明だ」と現状を説明し、「中国側が今後、強制退去させるケースが考えられる。府警は旅券法違反などの容疑で逮捕状を取っており、日本に送還されれば中国出国直後に逮捕できるが、送還先の原則は国籍を有する地とされ、ブラジルに送られる可能性がある」と報じている。
国外犯処罰に詳しいサンパウロ州立総合大学の二宮正人教授によれば、日本からでない第3国から送致されてブラジルで国外犯処罰になるのは始めてのケース。「容疑者はブラジル国籍者なので、ブラジル政府の同意なくしては日本へは引き渡せないでしょう。パスポートも保持していないとすれば、ブラジル政府(大使館、総領事館)が発行する旅行許可書で帰国するしかないと思います。ブラジルへ帰国してしまえば、あとは代理処罰しかないと思います。すべては中国政府の対応にかかっているといっても過言ではありません」という状態のようだ。
今までの国外犯処罰との違いは、「大石ゆり」容疑者が事件後、ブラジルではなくなぜか中国に逃亡し、ブラジルのそれでなく日本国総領事館に出頭したことだ。〃日本育ち〃ゆえに、とっさのときに出た日本人的な反応とも見られる。目が離せない展開になりそうだ。
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