ワールドカップまであと2週間を切ったブラジル。だが、この期に及んでもまだ開催都市の空港や交通などのインフラはおろか、スタジアムの準備も万端ではないのが現状。ブラジル国民の中には世界から「史上最悪のワールドカップ」と呼ばれることを恐れる人も少なくない。
だが、そんな矢先、ブラジル人をホッとさせうるニュースが飛び込んできた。それは2022年の開催地カタールに関しての汚職疑惑だ。
その疑惑は国際サッカー連盟(FIFA)の元委員で、アジア・サッカー連盟の会長でもあるモハメド・ビン氏が、2010年に開催地を選ぶ際、招致のために約500万ドルの賄賂を使ったというもので、イギリスの新聞「サンディ・タイムス」が1日に報道したことで明らかとなった。
この件に関し、元イギリスの検察員で現在はFIFA独自の調査委員会のメンバーでもあるロード・ゴールドスミス氏は「もし、この疑惑が真実なら、開催地選びを一からやり直さなければならない」と語り、「FIFA側もこのスキャンダルに関する態度を明確にし、情報を公開する必要がある」と語っている。
この件に関し、ビン氏やジョセフ・ブラッターFIFA会長は正式な見解を示していない。
ブラジルからはこれまで、ジョアン・アヴェランジェ元FIFA会長や、リカルド・テイシェイラ元ブラジル・サッカー連盟(CBF)会長など、汚職で名高いサッカー協会の大物役員もいたが、現在のところ、今回のワールドカップ絡みで、開催が危ぶまれるような汚職のニュースは報じられてはいない。
ただし、テイシェイラ氏は、カタール開催が決まる1週間前に、カタールでの親善試合を行なうに当たってCBFが多額の金を受け取ったりしており、今回の疑惑に関与していた疑いありとして調査委員会の捜査対象になっている。
なおカタールは以前にも、そのあまりの猛暑がゆえに、通常の開催期間である6~7月を(北半球での)秋となる10~11月に動かしたい意向があると伝えられてもいた。この期間は世界各国のリーグ、あるいはヨーロッパ・チャンピオンズ・リーグなどの大陸規模での重要大会の真っ最中で、この時期に開催がずれ込むと、選手の年間を通しての体調管理にも影響しかねない。
また、18年開催のロシアも、14年のソチ冬季五輪の際に、インフラや会場設備の悪さを国際的に批判されている。
(2日付エスタード紙、同日付ロイター電子版などより)