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行方不明者の捜査実態=12~13年で1万8千件=正式な捜索は51件のみ

 サンパウロ州市警は2012~13年の間にサンパウロ市内で1万8千人余の行方不明者を登録したが、正式な捜査(Inquérito)が開始されたのは51件で全体の0・3%のみだったことが、フォーリャ紙の調べでわかった。3日付同紙が報じた。
 殺人・人身保護課(DHPP)が、行方不明者捜索のために設置した特別署(捜査官2人と警官35人を配置)が開始した正式捜査は2年間に11件で、7件は未解決。他の40件は市内各署の管轄で、捜査の進捗状況は明かされていない。
 警察によれば、行方不明者の捜査を開始するのは犯罪に巻き込まれた証拠がある場合のみだ。ただ、正式捜査には至らなくても、病院や法医学研究所(IML)への問い合わせなど、具体的な捜査に至る前の予備調査(PID)は行われるため、どのケースも何も調べないまま放置されることはないという。しかし予備段階の調査は正式な捜査とは異なり、検察や裁判所の介入はない。
 同課のエリザベッテ・サトウ捜査官は「行方不明になったことがそのまま犯罪に巻き込まれたということにはならない。予備調査の過程で証拠が見つかれば、正式な捜査を開始する」と話す。
 ただ、実際の警察はその〃原則〃に厳密に則って動いているわけではないようだ。ギリェルメ・ダ・シルバさん(20)は2012年12月、市南部の公園で3人の男に無理やり車に押し込まれるのを目撃されてから消息が途絶えた。両親は警察に届け出たが正式捜査はなされず、今もみつからないままだ。「警察は息子が麻薬常用者だったのではないか、取引に関わっていなかったかと訊いただけ」と母親のマリアさんは言う。
 両親はポスターを貼り、地区から地区を尋ね歩いたり薬物取引が行われている場所に赴いたりしたが、手がかりは得られなかった。行方不明になる1週間前、ある少女がギリェルメさんに強姦されたと訴えていたことは警察にも伝えた。「強姦の件が名前入りで警察に届けられていた。捜査を始める手がかりはあった。やりたくないからやらなかっただけよ」
 2012年10月にサンパウロ州アパレシーダを訪れていた南大河州の77歳の女性が、旅の途中で夫とはぐれて行方不明になった件は様子が違う。警察は「記憶を喪失して徘徊した」との仮説で調べようとしたが、同年12月に報道番組の「ファンタスチコ」で取り上げられ、犯罪に巻き込まれた証拠は無いが、警察が正式捜査を始めている。
 行方不明者の大半は家庭内暴力や貧困などで家出した若者、新しい家族を作るために家族を捨てて家を出た大人だという。12~13年に登録された1万8176人のうち、1万3263人が見つかっている。