「ララウ」の名で知られ、2000年に1億7千レアルの公金横領などの容疑で実刑判決を受けた元裁判官のニコラウ・ドス・サントス・ネット氏 (85) が3日朝、高齢と体調不良を理由に釈放された。4日付伯字紙が報じている。
1990~92年にはサンパウロ州地方裁判所の長官職までつとめていたネット氏は、同裁判所判事時代の94~98年に、サンパウロ州労働裁判所建設に伴い、ルイス・エステヴォン氏上院議員(2000年に罷免)と共謀して合計1億7千万レアルの公金を横領していたことが発覚し告発された。その後、ネット氏がその金を元に米国のマイアミで豪邸を購入したことなども発覚し、当時大きなスキャンダルとして報道された。
ララウ氏は2000年に逮捕され、2006年5月、第3連邦地裁からマネー・ロンダリング、収賄、労働裁判所建設に関する入札での不正手続きの三つの罪で26年6カ月20日の実刑判決を受けた。この判決は、「司法が裁判官を実刑に導いた」珍しい例として世論の支持を得た。
だが一方、この裁判で31年の実刑判決を受けたエステヴォン氏は上告後も再審の遅延行為などを行なっていることなどから常に、「ネット氏はエステヴォン氏のスケープゴートにされた」との見方をされている。ネット氏は2000年から刑務所に入っているが、エステヴォン氏は2度逮捕されたものの、短期間で終わっている。
ネット氏の釈放は、サンパウロ州地裁が2日に同氏釈放の許可を出したことで実現した。この判断は、2012年12月にジウマ大統領が出した「70歳以上の受刑者は、刑の執行期間の4分の1を履行した時点で恩赦を受けることができる」という大統領令に基づいている。
ネット氏は3日朝、収容されていたサンパウロ州トレメンベーの第2刑務所から出所し、南部モルンビーにある自宅に帰った。同氏の担当弁護士のセウモ・マルシオ・デ・アシス・ペレイラ氏によると、ネット氏は頚動脈が詰まっており、きわめて衰弱しているという。
なお、ネット氏は13年12月にサンパウロ州第2裁判所の判決で、サンパウロ州地裁判事としての退職金受領資格を剥奪された。