兎にも角にも寒い!と私は声を大にしてお伝えしたい。
W杯開幕が近づくに連れて、日本の方々からブラジルについて聞かれる機会が急増した今日この頃。中でも、治安とともにブラジルの気候もしばしば尋ねられます。日本代表の試合が行われるレシフェ(ちなみにブラジルではヘシーフィと発音)、ナタル、クイアバ は、いずれも温かい、もしくは暑い所ですが、サンパウロは今とても寒いんです!
そう話すと気温を聞かれるのですが、気温を伝えるとこの寒さが今ひとつ伝わらないのです。というのもここ最近のサンパウロの気温は、最高気温が20℃前後、最低気温は10℃から17、8℃の間位です。おおよそ東京の4月もしくは10月位といったところでしょうか。それでは確かに「寒い!」と言われても、ピンと来ないかもしれません。
しかしこのところ、ブラジルの人々と会うとまずは、「寒いですね!」という会話から始まり、一部この寒さでもタンクトップ姿の強者も見かけますが、周りは厚手のコートやダウンジャケットにブーツの装い、私は家でも手持ちの中で一番温かいセーターを着てストーブも付けています。とりわけ夜は、あまりの寒さにこれは5℃くらいに違いないと思って気温を見てみると15℃だったりして、体感温度と実際の気温との差に日々首を傾げているのです。
これは、ただ単に私が寒がりということなのでしょうか? いや、周りの様子を見てもそうでもなさそうです。日本と比べて防寒材が使われていない、石やコンクリートの建造物が多いから? 色々な所から隙間風が通り抜けるから? サンパウロでは、オフィスや公共施設を除き一般的な住宅には、ほとんどエアコンや暖房器具、ストーブが無いから? 寒暖の差がとても激しく、日中はかなり温かくなる日もあるため、その落差でより寒く感じるから?
昨年の冬は、ブラジル南部から南東部を記録的寒波が襲い、サンパウロでは亡くなった方もいる中、あまりの寒さに凍えそうな夜を過ごしながらも実際の気温はそこまで低くはなく、この謎は解明されないまま夏の到来とともにすっかり忘れていましたが、昨年の記憶がみるみる蘇って来ました! 寒い!
W杯観戦にブラジルにいらっしゃる皆様! もしもサンパウロに立ち寄る機会がおありでしたら、ぜひここはひとつ騙されたと思って暖かい服もお持ちになることを強くお勧めいたします!
プロフィール
竹内 香苗(たけうち かなえ)。愛知県出身のフリーアナウンサー。約10年間過ごしたTBSでは『はなまるマーケット』『朝ズバッ!』などに出演。夫のブラジル赴任に伴い12年に同局を退社し、ホリプロに所属。同年11月よりサンパウロ市に滞在している。