W杯開幕まで1週間となった5日、サンパウロ市では同日早朝からメトロが無期限ストに入った。スト決行は、4日午後行われた地方労働裁(TRT)での会合で公社側との交渉が決裂したメトロ労組が4日夜決めたもので、5日のロジージオは中断された。メトロのストでサンパウロ市民460万人の足に影響が出た5日はサンパウロ市交通技術公社(CET)もスト入りした。同日付各伯字紙が報じた。
メトロ職員らは4日の総会で1、2、3、5号線の運行停止を決めた。TRTはピーク時は100%、それ以外の時間帯も70%の運行を命じ、それを守らなかった場合は1日10万レの罰金を科すと通達したが、実際にはこの通達は守られず、5日のサンパウロ市の交通は混乱した。
公社はトゥイッターで「(ストは)市民に迷惑をかけるだけ」などとストを非難するコメントを流し、ジェラルド・アウキミン州知事は「政治的なもので、全く意味のないスト」と非難した。対してアウティーノ・プラゼール組合会長は「スタジアムやW杯に使うお金があるなら、なぜ公共交通機関に使わないのか」と強調した。
今回のストには社会主義者労働者連合党(PSTU)、無料乗車運動(MPL)など社会運動家集団の主導者の多くが支援を表明している。
公社側は当初、インフレ率6・28%を下回る5・2%の給与調整を提案したが、組合側はそれを大きく上回る35・47%を要求した。仲裁に入ったTRTが9・5%を提案したが、組合側が16・5%を要求し、公社は8・7%を再提案。組合員らはそれを受け入れず、少なくとも10%の調整がない限りは仕事をしないと主張した。
5日は朝からバスの停留所が大混雑し、市内の道路では午前9時半の時点で今年最悪の209キロの渋滞を記録。出勤を諦めて帰宅する人も続出した。ただ、5号線は朝から運行。5日午後1時の時点では、民間運営で最初からスト入りしなかった4号線(黄色)を含め、63駅中32駅が機能している。
メトロとCPTMを結ぶイタケーラ駅では午前7時頃、安全対策のために駅が封鎖されたことに怒った約30人の利用者が門を壊し、改札を飛び越えてプラットフォームに入るという騒ぎがあった。軍警が駆けつけたが、抗議者らは消火器の液体を撒く行為に出て混乱が起きた。
メトロの組合員は4日朝もセー駅周辺でデモを実施。中にはブラック・ブロックと呼ばれる黒ずくめの集団に似た格好をした組合員もいたが、ゴリラのような唸り声を上げたりするだけで暴力行為はせず、給与調整やアウキミン政権を批判したりしていたという。
なお4日夜は、ホームレス労働者運動(MTST)の運動家らがラジアル・レステを封鎖して渋滞を引き起こした後、イタケロン・スタジアム前で1万2千人(軍警発表)でデモを行った。
MTSTは、ジウマ大統領が自分達の要求に何らかの回答をしなければ、6日にモルンビー・スタジアムで行うセルビア対ブラジルの親善試合に行くサポーターのアクセスを妨げると脅した。