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労働市場はまだ熱い?=第1Qの失業率7・1%=案じられる工業界の雇用減

 3日の地理統計院(IBGE)発表によると、1~3月の失業率は7・1%で昨年同期の8%より0・9%ポイント低下と4日付エスタード紙が報じた。失業率低下は求職者数減少と新たな雇用創出の結果で、楽観的な見方が減り、経済活動も困難な中だが、労働市場はまだ熱いという。
 求職者減少はここ数年続いており、仕事を探さなくなったのは、高齢者と若者、女性、小中学校を中途退学した低学歴者だという。この傾向は、所得向上で女性や子供が働かなくても食べていける家庭の増加や、上の学校へ行く若者が増えた事などを反映している。
 だが、その一方、地域毎の失業率にバラつきがある事や、5月25日付フォーリャ紙の、W杯と選挙が雇用状況悪化を回避させているが、2015年には失業率が上がるとの記事が気がかりだ。
 地域別の失業率は、北部7・7%、北東部9・3%、南東部7・0%、中西部5・8%、南部4・3%で、家内工業も多い南部は失業率が低いが、水害などで悩み、経済活動も他地域ほど盛んでない北東部は高い。
 また、フォーリャ紙の記事では、6大都市圏の就労者は1~4月に0・7%しか増えておらず、過去最低だった2009年と2013年と同じ伸び率だ。同紙によれば、6大都市圏の失業率は5%まで落ちる可能性があるが、それは労働市場から出て行く人が増えるから。定年の近い人の退職は判るが、経験の余りない若者は仕事が見つからず、勉強を続けるとある。市場では2015年の失業率は5・3~5・4%と見ている。
 また、現在は求職者が少ないのとサービス業などで求人が続いてため、所得が伸びる可能性があるが、今年の平均所得の伸びは、2005年以降最低の2%程度で、所得向上は減速中だ。ジェツリオ・ヴァルガス財団では、経済減速で求職者が増え始めれば所得の向上率が下がるという。
 他方、5月22日付エスタード紙によれば、4月の雇用創出は同月としては15年間で最低の10万5300人(昨年4月の59%)、サービス業は6万8800人の雇用増で、工業は3400人の雇用減とある。
 だが、翌日付同紙によれば、工業界では3月から4月にかけて6万9千人解雇とある。また、工業界で継続就労している人は、解雇の可能性と就労時間短縮、給与減額といった現実にも直面。工業界の就労者数は過去最高だった2008年7月より5%減。3月の就労者数は30カ月連続で減り、昨年同月比1・9%減との統計もあり、労働市場が過熱しているとばかりもいえないようだ。