ホーム | 日系社会ニュース | W杯=ジンクス破れ! 日本代表=帰化ブラジル人選手なしの初大会=サッカージャーナリスト 下薗昌記さんに聞く=「ブラジルサッカーの影響強い」

W杯=ジンクス破れ! 日本代表=帰化ブラジル人選手なしの初大会=サッカージャーナリスト 下薗昌記さんに聞く=「ブラジルサッカーの影響強い」

 元本紙記者で、現在は日本で南米サッカーに精通したサッカージャーナリストとして活躍する下薗昌記さん(43、大阪)が3日、W杯取材のため来伯した。7日には日本代表がいよいよブラジルに到着、12日からは開幕となる。今大会の見所を尋ねると、「日本代表は過去、南米国と同組となったW杯では一度も決勝トーナメントに進めていない。コロンビアとの対戦を控える今大会で、そのジンクスを打ち破れるかですね」と解説した。

 「サッカー先進国の技術を初めて日本にもたらした吉村ネルソンや、ラモス瑠偉、呂比須ワグナーなどの帰化選手、そしてジーコやドゥンガといった世界的名選手など、ブラジル人が日本サッカーに与えた影響は計り知れない。そこには、脈々と受け継がれた〃ブラジルの血〃が生きている」。そう滔々と語る下薗さんの表情からは、ブラジルサッカーに対する熱い思い入れが伺われる。
 イタリア人指揮官のザッケローニが選出した代表メンバーリストには懐疑的な見方だ。「斉藤学や清武弘嗣など、攻撃的な選手を数多く選出した一方で、中盤のフィルター役をこなせる細貝萌や守備にも貢献できる長身のFWを外した。外した。ボールを長く保持する攻撃サッカーを貫くための人選だというが、守備的に守りきる戦術を持たないのは大きな不安要素」との分析を見せた。
 今大会では、日本テレビの取材コーディネーターを務めるとともに、読売新聞や週刊サッカーダイジェストといった専門誌へのコラムを寄稿する。
 幼少期に大人気サッカー漫画「キャプテン翼」にも登場した当地の名門クラブ・サンパウロFCに魅了されたことをきっかけに、ブラジルシンパに。関心はブラジル人を中心とした在日外国人問題にまで広がり、大阪外語大学ではポ語を専攻。
 朝日新聞記者を経て、2002年から本紙記者として3年間当地に滞在。05年5月から連載『海を渡ったサムライたち 日伯セレソン物語』などを発表し、当時ほとんど知られていなかった日系人選手の貢献を抉り出した。
 帰国後は、ブラジルをはじめ南米各国でサッカー取材をこなした経験や、培った語学力を活かし、日本のテレビ番組でリベルタドーレス杯の解説をするなど、南米サッカーに精通したジャーナリストとして活躍している。06年のドイツ大会に続き、2回目となるW杯の現地取材となった。
 「日本チームのメンバーに帰化選手の名前が初めて入らなかった今大会だからこそ、このブラジルの地で『ブラジル人がいなくてもここまで出来る、成長したんだ』ということを証明して欲しい」と期待を込めた。