樹海

 6日午後、同日起きた労組のフォルサ・シンジカルによる抗議行動の写真を見て、現政権への不満の大きさを感じた▼元来、5~6月は給与調整などの理由でストが多発する時期だが、 今回のデモのテーマは現政権の経済政策とW杯への公的資金投与のあり方への反対だった。「PT(労働者党)出て行け」「汚職は真っ平、ジウマもやめろ」「がっかりだ! ジウマ政権はブラジルを止めている」などと書かれた横断幕が各所に見える▼特に驚いたのはルーラ前大統領の出身母体というべき金属労組が生産部門への支援策への不満をぶつけた横断幕だった。あの金属労組もPT政権に反旗を翻したのかと考えさせられてしまった▼ルーラ政権が経済活性化計画(PAC)を発表した時の総責任者で、「PACの母」の呼び名ももらったジウマ大統領。だが、PAC事業の遅れが財政負担増を生み、払えないまま次年度、次々年度に繰り越された事業費が予算を圧迫し、年度始めに緊縮財政策を採る事を余儀なくされるという悪循環は年々顕著になっている▼労働者党政権でありながら、労組から反発を受けている矛盾。大統領選前に必死に共闘体制を強化しているはずのPTが何か大きな忘れ物をしているような錯覚を覚える▼PTは選挙戦の度にルーラ政権とカルドーゾ政権の経済成長率などを比較し、自分達がどれだけ優れているかを強調してきた。だが、ジウマ政権ではW杯開催を前にしても経済成長が低迷し、インフレ昻進中だ。昨年のコンフェデ杯や今年のW杯前の抗議行動多発は単なるデモではなく、国民の不満の高まりの表れと再認識しなければ、PTに期待されたはずの改革は起こらない。(み)