12日から開幕するサッカーW杯ブラジル大会は、国際サッカー連盟(FIFA)にとってはかつてないほど大きな財源となっており、トップに立つジョセフ・ブラッター会長が会長職再選のために利用する可能性が強いが、FIFA内部からは同会長の時代を終わらせたいとする声が上がっている。
FIFAは10、11の両日に総会を開催。ブラッター会長は10日、今大会の財政状況が予想以上に好調なのを受け、FIFAに加盟している209カ国の支部に特別ボーナス支給を発表した。だが、エスタード紙によると、それが15年に行なわれる、FIFAの会長選挙での票固めを狙ったものと見られているという。同氏はFIFAの会長を1998年からつとめており、15年の会長選挙への立候補を既に明言している。エスタード紙によれば、同氏は既に、全6地区のうち4地区からの支援を取り付けてもいる。
これに対し、FIFAのヨーロッパ支部である欧州サッカー連盟(UEFA)のレナート・ジョンソン元会長は「ブラッター氏に終わりのときが来た」と語っている。さらにUEFA役員らはW杯のためにサンパウロ入りして以降も、ブラッター会長に対し、UEFAが同会長を支持しないこと、同会長になってFIFAのイメージが落ちたことなどを直接伝えているという。その一人でオランダ・サッカー連盟会長のマイケル・ヴァン・プラーグ氏も「彼が会長のままだと腐敗体質は続くばかりだ」「彼の退任が改革には欠かせない」と明言している。
このようにUEFAの役員たちがブラッター会長に不満を表明している理由は二つあるとされている。一つは、イギリスの新聞が22年のW杯開催のカタール大会の誘致に際し、カタールの役員が巨額の賄賂を使っていたと報道したことに対し、ブラッター会長が「きわめて人種差別的な報道だ」と言って批判したことだ。
さらにもう一つが、W杯における各地区の出場国枠の変更をブラッター氏が一方的に約束していることだ。同会長はオセアニア地区、北米・中米地区からの枠を増やしたいと語っているが、そのしわ寄せでヨーロッパの枠が減らされることに反発しているためだ。これには南米地区も反発を示している。
FIFAがW杯開催のためにブラジルに巨額の金を必要とさせていることにはブラジル民からも反発が強く、昨年のコンフェデ杯ではブラッター会長に罵声を飛ばす場面も見られた。また、ジウマ大統領は、風邪をひいたという理由で、今回のFIFAの総会に欠席している。(10日付エスタード紙サイトなどより)
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