【既報関連】5日連続でストを決行したサンパウロ市メトロの組合員らは、10、11の両日はストを凍結することを決めた。しかし、11日に予定されている総会の結果次第ではW杯開幕当日の12日に再びスト入りする可能性を示唆しており、予断を許さない状況だ。10日付エスタード、フォーリャ両紙が報じた。
州政府は組合側に対して強硬な態度を崩さず、ジェラルド・アウキミンサンパウロ州知事は9日、駅を破壊するなど過激な行為に出たとして42人の職員に解雇通知を送ったが、組合側は不当で脅迫に値すると主張している。
9日午後は既にストが下火になっており、約半数の職員が業務に戻り、夜には60のうち56の駅が機能していた。
労働地方裁判所(TRT)は8日、ストの終結と、守られない場合の1日50万レの罰金支払いを命じており、5日からの分を合わせた罰金額は9日の時点で90万レに上っている。
ストが行われた5日間はサンパウロ市内の道路が大渋滞に見舞われた。アナ・ローザ駅前では9日朝もバリケード封鎖を伴うデモが起き、軍警もゴム弾や催涙ガスなどで介入する騒ぎとなり、メトロ職員13人が拘束された。
デモにはMPL(無料乗車運動)や他の社会運動集団の面々も加わっていた。MPLのメンバーの一人はW杯について、「セレソンを応援する空気ではない。今は人々の生活を良くするために戦う時。全ての社会運動の目的はそこにある」と話した。
また、W杯開幕日の12日にストを行う可能性があるのはサンパウロ市メトロだけではない。リオのメトロ組合員は基本給与750レから32・4%の調整を求めている。11日に開催する総会前に合意が成立しなければ、12日にスト決行の予定だ。同部門の人々の給与水準でみたインフレ率(INPC)は2013年に5・8%上がった。
また、サンパウロ市のフィスカル(税務調査官)らも12日からスト入りすると発表した。スト決行の場合、シダーデ・リンパ法やFIFAの定めた規定の適用は困難になる。FIFAの規定では、スタジアムやファン・フェスト会場から半径2キロ以内では、FIFAが許可したもの以外の商品を売ることを禁じている。
政府、MTSTの要求呑む
なお、「民衆のコッパ(Copa do Povo)」として、先月からサンパウロ市東部のイタケロン・スタジアムから3・5キロ地点にある土地を占拠していたホームレス労働者運動(MTST)参加者に対し、連邦政府とサンパウロ市は9日、セン・テットらの要求に応じると通達した。MTSTは「赤い6月になる」とW杯中の暴動をちらつかせて大衆住宅建設などを要求していたが、「要求の大半は満たされた」として〃休戦〃を約束した。
MTSTの主導者ギリェルメ・ボウロス氏によれば、連邦政府は2千軒の大衆住宅を建設し、一軒につき7万6千レの補助金を出すと約束したという。他にも州政府、市からの補助金が出る。
建設は土地の所有者であるViver社が行い、建設計画は今後、MTSTメンバーとともに詰めることが決まったという。