W杯開幕とブラジル代表の開幕戦勝利で、国内が興奮の渦に包まれた12日、利用客がW杯のチケット40枚の入ったカバンを忘れたことに気づいたサンパウロ市のタクシー運転手が、深夜にも関わらずホテルまで届けに行き、宿泊客達の賞賛を浴びるという美談が起きた。
善意のタクシー運転手は43歳のアジウソン・ルイス・ダ・クルスさんだ。アジウソンさんは12日未明に、メキシコ人のグループをサンパウロ市南部のノヴォ・オテル・サンパウロ・モルンビーまで送った。
メキシコ人の客はかなり酔っており、タクシーの座席にビールをこぼしたりもしたため、帰宅後に、掃除をしようと後部座席の扉を開けたところ、客の一人がカバンを忘れた事に気がついた。
カバンの中に入っていたのはW杯の入場チケット計40枚。メキシコとカメルーンの試合は13日という事もあり、アジウソンさんは大急ぎでホテルに向かった。
ホテルに着いたアジウソンさんが客の友人の携帯電話の写真で忘れ物をした客を確認し、入場チケット入りのカバンを手渡すと、ホテルにいた客達は皆、アジウソンさんの行為に賞賛を送った。
アジウソンさんは「チケットを売り払って金を稼ごうとする人もいるかもしれないが、良心の呵責に悩まされるよりも正直である方を好む」とし、「これを機に(メキシコ人の客達が)もっと注意深く行動するようになってくれればいいけれど」と語っている。(13日付G1サイトより)