自国開催のW杯だから盛り上がっているでしょうねー。6月初旬に日本からの電話で聞かれて、「実はいま一つ盛り上がりに欠けているんです」と答えた今回のW杯。他の国でのW杯の時は1月以上前に道路が飾られ、わくわく感が漂っているのに、今回はW杯反対デモが繰り返し起き、景気も今一で火がつくのが遅れに遅れた▼だが、12日の開幕日とその直前、ブラジル勝利後の13日は応援グッズ販売店に人が集まり、街中に黄色と緑が溢れた。12日にイタケロンに近い友人宅に居た18歳の娘が「黄色と緑をこんなに沢山見たのは初めて」と言うほどだ▼ブラジルの試合を前に我慢しきれなくなった人達が花火や応援グッズを買いに走り、テレビの前に釘付けになる。やっぱりブラジル人はサッカー好きでW杯は「国民にとって大切な祭り」と感じる時で、一番冷めた目で見ていた長女もブラジル戦と日本戦は一緒に観戦▼準備の遅れは最後まで回復しきれなかったが、外国人サポーターは会場や交通機関の問題は二の次、三の次で試合に熱中。デモやスト頻発の報道に不安を抱えていた観光客が想像していたより安全と話し、ブラジルに好意をよせる人が過半数といった報道に少し安堵したのは職業病か▼ファンフェストの最中に携帯電話を盗まれたなどの悲しい報道を耳にする一方、観光客がなくしたチケットを国軍も動員して無事に届けたという話もある。ブラジルメディアはリベルダーデで開かれた日本応援のイベントにオランダ人サポーターも参加したと報じるなど、W杯は国や文化の差を越えた一体感を生み出している。準備の遅れは1950年の大会の時もと聞き納得したが、リオ五輪はどうなるか。(み)