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ぱっせ(静岡新聞)=W杯コラム「心落ち着く宿舎なら…」

 サッカー日本代表がキャンプ地イトゥに入った時のこと。「まだ工事中のところもあるけど…。最高の環境です」。ある選手の会見での何気ない一言に、報道陣が食いついた。「どこ、どこ? 風呂? トイレ?」
 日本代表関係者の多くは現地入り後も、工事遅れが心配された宿泊棟について「完成した」の一点張り。その選手は、ばつが悪くなったのか、以降、あいまいな回答に終始した。本当に「完成した」のかは分からないが、心落ち着く宿舎であるならそれでいい。
 記者たちが使う別のホテルは外観も内装も美しい。しかしシャワーからはぬるい水しか出ない。突発的な停電が起きる。流れが悪くてトイレでトイレットペーパーも使えない。何かと不便は多い。
 なのに今後に不安を感じないのは、イトゥの人たちの温かい人柄があるからだろう。危険地帯が少なく、2キロほど離れた中心街の食堂にも歩いて行ける。報道陣にとっても、山あいののどかな街は英気を養うのに打って付けの場所に思える。(静岡新聞特派員・南部明宏)
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 「パッセ=Passe」はポ語でサッカーの「パス」。ニッケイ新聞と提携紙の静岡新聞が、それぞれの視点からコラムをつなぐW杯特別企画のリレーエッセイだ。日本代表に同行取材する静岡新聞の特派員・南部明宏記者と本紙の深沢正雪編集長が担当する。<随時掲載します>